いつも脱走計画を企てているのがタルトだ。

 

今はお互いを知っていく期間だと思い、十二畳の部屋を半分に仕切って物理的距離感を近くして、六畳分でタルトには生活をしてもらっている。

 

しばらくゲージに入れておいて様子を見るという作戦もあるらしいけれど、俺的にはそれよりかは今の方が自由が利くしタルトにとって良いだろうと思って実行している。

 

日中は大人しく寝ているのだけれど、昼夜逆転しているタルトは夕方から夜にかけて脱走を試みている。

 

窓にジャンプしてみたり、カーテンレールの上を歩いてみたり。

 

結局いつも足を滑らせて落ちたり、本棚の間に挟まったりして作戦失敗の連続だ。

 

ただ厄介なのは、助けてあげようとしても、作戦を失敗している時点でかなり機嫌が悪いので、手を差し伸べると「シャー」と威嚇してくるのだ。

 

俺のせいじゃないのに八つ当たりをされている気分になる。

でもだからと言って嫌いになれないのがタルトの魅力なのかもしれない。

 

猫との暮らしをイメージすると、飼い主のところににょろりと近寄ってきて甘えてくるのが思い浮かぶ。

 

俺もそういうのを想像して里親になったところはある。

 

でもタルトはそういうタイプではない。

 

自分の好きなところで好きなようにしている。

 

タルトと一緒に暮らしていると、そういう猫と飼い主の関係も悪くはないなと考えるようにもなった。