エスプレッソマシンレビュー第6回[スターバックス SIRENA]
スターバックス、Saeco、BMWデザインワークスがコラボレーションし2年の歳月をかけて誕生。
美しいアメリカン・アールデコスタイルが特徴。
側面観。
基本的なハウジングは高品質なオールメタル。
スチームノブなど小さな部品もしっかりデザインされている。
背面観。
質感の高い水タンクは容量1725mlと十分。
底部中央から電源コードが出るが、このコード自体をマシンから取り外すことが出来るので収納時に便利。
上から。カップウォーマー(受動的)を備える。
このカップウォーマーのプレートもしっかり厚みのある金属を使っている。
水タンクは乗せてあるリッドを外し、上に引っ張れば外れる。持ち手も使いやすい。
内部メカニズム。
背面のへクスローブネジ2本を外すことによってアクセスできる。このへクスローブネジは短いので外す際にマシン内部に落とさないように要注意。
フレームは丁寧に補強されている。
ステンレスボイラー。
別に用意されたラピッドスチームボイラー。
抽出とスチーミングの同時進行は出来ないが、スチームモードへの切り替え時間を短縮するのに役立っている。
非常に重厚なポルタフィルター。ポルタフィルターの形状はGAGGIA社のものに似ている。
ダブル用に見えるフィルターバスケットが粉末用フィルター(シングルショット・ダブルショット兼用)。
シングル用に見えるフィルターバスケットはPOD用フィルターである。
左上にある円形のラバー部品がラバーガスケットアダプター(バックプレッシャーアダプター)で、その下にあるのがプラスチックサポートペグ。
この2点のパーツはパウダーで抽出する場合にフィルターバスケットの下に設置して使用する。
このシレナは「セルフタンピングメソッド」と言って、ラバーガスケットアダプターとプラスチックサポートペグを使用することによってパウダーを使用する際のタンピングを不要にするように設計されている。
ポルタフィルターにパウダー用フィルターバスケットを装着した状態での重量は約519g。
粉末用フィルターを使用する場合、まずプラスチックサポートペグをこのように装着する。
次に、ラバーガスケットアダプターを装着する。
中心に針の先ほどの穴が開いているのが分かる。湯の抜け道をその部分に制限する事によって、タンピングをしなくても強制的にフィルターバスケット内圧を高めるような仕組みなのだろう。マジックカプチーノのクレマエンハンサーと同じような構造だと言える。
この状態にしてから粉末用フィルターバスケットを装着する。
これでタンピングが不要になる。
なのでこのマシンにタンパーは不要だが、一応計測してみるとジャストサイズのタンパーは58mmだった(オーダーメイドされる方はご自身による再計測を)。
ポルタフィルターを裏から。スパウトも本格的なものが装着されている。
スチームノズルは1穴。
5℃→65℃試験は1分14秒。スチーミング前に150ccだった水の量はスチーミング後に210ccになっていた。
このマシンは120V 60Hz仕様なので本来のパフォーマンスを発揮できなかった可能性大(試験は50Hz地域で実施)。
スチームワンドはジョイント部を支点にしてこのように自在に動かすことが出来る。長さも十分。
リムーバブルスチームハンドル(ワンドに装着されている黒の樹脂部品)はしっかり固定されており使いやすい。
グループヘッド。
どこから見てもデザインに抜かりなし。
しかも内部の部品の上下を変えることで、ドリップトレーを2段階に上下させられる。
構造は比較的洗い易い。
但しカップ受けの水はけは悪い。
それでは抽出に移る。
左からメインスイッチ、シングルエスプレッソボタン、ダブルエスプレッソボタン、スチームボタン。
中央のゲージは温度ゲージ。温度ゲージの下にある小さな水滴のライトがウォーターライトで、水タンクの残量が不足すると点灯する。
メインスイッチを押すとシングルエスプレッソボタンとダブルエスプレッソボタンがゆっくり点滅する。この点滅が点灯に変わったら抽出OKのサイン。
その後スチームボタンを押すとシングルエスプレッソボタンとダブルエスプレッソボタンが消灯し、スチームボタンがゆっくり点滅する。この点滅が点灯に変わったらスチームOKのサイン。
試験時はメインスイッチON→抽出OKまでが2分57秒、スチームボタンON→スチームOKまでが12秒だった。
スチームへの切り替えはラピッドスチームボイラーの恩恵で非常に速い。
ちなみにこのマシンは抽出量プログラミングが可能。
プログラミングする際には、通常通りフィルターにパウダーを入れてポルタフィルターをセットし、希望の抽出ボタンを押し続けて理想の量になったらボタンを放す。これで簡単にプログラミング完了。
指示通りパウダーをフィルターに入れただけで、全くタンピングせずに行った抽出(豆は自家焙煎後2日経過、グラインダーはデロンギKG100)(マシンは120V 60Hz仕様なので本来のパフォーマンスが発揮されていない可能性あり)。
シングルショットで約7g、ダブルショットで約14gの粉を使うよう指示されている。
構造上出がらしはかなり濡れている状態になる。捨てるのはちょっと面倒。
<総評>
セルフタンピングメソッドという珍しい機能が搭載されているマシン。
タンピングが不要なのは確かに楽なのだが、出がらしの掃除が面倒だったりと一長一短。
ただ、デザインやマシンの材質的な耐久性は文句の無いものだと思う。
ホームバリスタを自称するようなエスプレッソのマニアというよりは、マシンのインテリア性に最大限こだわりたいというライフスタイル重視の人に向いているマシンだと思う。
<スターバックス SIRENA>スペック (管理人調べ)
●メーカー : Saeco(スターバックス、BMW共同開発)
●分類 : セミオートマチック
●330×380×300mm
●コード長 : 約1.2m
●重量 : 9.45kg
●消費電力 :1050W
●ポンプ圧:15気圧
●パウダー使用 : 可
●POD使用 : 可
●水位計 : 有(ウォーターライト)
●着脱式ウォータータンク : 有 (容量1725ml)
●着脱式ドリップトレー : 有
●カップウォーマー : 有(受動的)
●3方向バルブ : 無
●熱交換器 : 無
●デュアルボイラー : 有
●給湯機能 : 有
●C型スプリングによるフィルターバスケットの固定 : 有
●セルフタンピングメソッド