2度目の結婚を決意した時、この人を幸せにしたい…と思った。








数年後、子供が生まれた時、この子を守りたい…と心に誓った。








30代の半ばとなり任される仕事が多くなり仕事の面白さも分かってきたため帰宅が遅くなりがちになった。








「今日も遅くまでお疲れ様」








何気ない一言だけど、その一言が何よりも疲れを癒やし、活力になった。








料理は苦手だったので任せきりだったが、風呂やトイレ掃除、洗濯などやれることはやっていた。








いや…やっているつもりだった。








仕事と育児の両立で疲れていたのかもしれない。








でも、気付いてあげられなかった。








見ようともせず、労ってあげられもしなかった。








家庭を蔑ろにするつもりはなかった。








子供の将来を考えて収入を増やすべく職能団体の仕事もするようにした。








必然的に土日も家を空けがちになった。








喧嘩の原因はいつも些細なこと。








火種はともかく、いつも過去の出来事に紐付けられるのがとても嫌だった。








我慢の限界を通り越して爆発して、ついに手を挙げてしまった。








短気な私は壁に追い詰めて大声で罵った。








泣き顔でぶるぶる震える姿は今でも忘れられない。








傍らではまだ幼い息子が泣いていた。








翌日から子供を連れて実家に帰ってしまった。








情けないながら両親を引き連れて会いに行ったが門前払い。








離婚調停を持ち出され嫌な一年を過ごしながら2度目の結婚生活が終わりを迎えた。








私がした事は決して許されるものではない。








ただ、自分の想いは分かってほしかった。








その想いが伝わらないもどかしさ、分かってくれない虚しさや悲しさが故の言動…という言い訳。








しのごの言っても始まらない。








大切なものは失ってから気づく。


中山 七里さんの『テロリストの家』を読了したので、感想を綴ってみる。








【あらすじ】
国際テロを担当する警視庁公安部のエリート刑事・幣原は、イスラム国関連の極秘捜査から突然外された。間もなく、息子の秀樹がテロリストに志願したとして逮捕された。妻や娘からは仕事のために息子を売ったと疑われ、組織や世間には身内から犯罪者を出したと非難される。公安刑事として正義を貫くか、父としてかけがえのない家族を守るか、幣原の選択とは―。衝撃の社会派長編ミステリー!
※「BOOK」データベースより








自分が生きる上で何を大切に護っていきたいか…考えさせられた作品星








警視庁公安部のエリート警察官である幣原(しではら)。








あろうことか息子の秀樹がテロリストに志願した罪をキッカケに職場でも家庭でも居場所をなくす。








人の情報を集めるプロが妻や子供たちのことをまるで知らない…という滑稽さチュー








「家族のために!」と意気込んでいたのにいつの間にか目的がすり変わってしまっているこの変な感覚口笛








何なんでしょうねアセアセ








仕事って本当に不思議なものです。








その仕事においても憂き目に遭いプライドがズタボロ。








男って、仕事の成否がプライベートにも影響すると思ってるんですが気のせいでしょうかタラー








何故、息子の秀樹がテロリストに志願したのか!?








動機を探るべく物語が進む訳ですが、殺されてしまいますびっくり








口封じ?厄介払い??それとも…!?








家族が罪を犯したが故に一変した環境に戸惑う中での更なる追い討ち。








幣原一家に試練をこれはどうか!と言わんばかりに投げつけられます。








身内にも疑いの目を向けなければならなくなった悪状況。








仕事一筋で生きてきた幣原が職業倫理と家族への帰属意識の間で心が揺れ動きますチュー








物語の最後、何故、息子の秀樹がテロリストに志願したのか明かされますキラキラ








理由づけとしては、ちょっと強引で納得できるものではありませんでしたが、秀樹のとある方への想いや贖罪、優しさが判明するエピソードは微笑ましく涙が溢れます笑い泣き








人は色々な側面を持っていて自分の見ている部分は一部に過ぎない…そんな教訓を得ました。








幣原一家はひとまず件の理由や秀樹を殺した犯人が分かり区切りを迎えますが、本当の試練はこれから訪れます。








ですが、幣原一家はもう怖いものはないはずです。








息子の秀樹が命を賭して伝えてくれた家族への想いは幣原一家の絆をより強固にしてくれたのですから爆笑








物語の構成や題材が同じ中山七里作品の『夜がどれほど暗くても』と〝犯罪者の家族〟という点が似ていますねニコニコ








仕事と家族の関係性に悩んでいる方。そして、お子さんをお持ちのお父さんには読んでもらいたい作品。ぜひ、ご一読あれウインク