隆家達は可愛川沿いを南に向かって歩き始めた。
そのまま1キロほど可愛川沿いを歩いたところに毛利氏の居城である郡山城がある。
「殿、あれが大浜の船着場ですね?」
「ああ、あまり大きくはないが賑わっているな」
「やはり毛利は勢いがありますね。大内のお館様が頼りにするのもわかりますね」
「ああ、オレが五龍城に来た頃にずいぶんと所領を与えられて大内方についたらしいが先代の大内のお館様は先見の明があったということだな」
「以前は我々とは敵対していましたが10年前に高橋を滅ぼした時には奪い取った吉茂上下荘のうち500貫を気持ち良く大殿に譲りましたからね」
「ああ、いくらもとは宍戸が高橋に横領されていたものとはいえ、なかなか出来ないことだ。大殿もな・・・毛利の殿のことをだいぶ買っているぞ。あれは大した奴だと」
「もともとはご次男で家督を継ぐお立場ではなかったそうですが・・・」
「毛利家の当主は3人続けて早死にしているがまさかご本人も自分が家督を継ぐとは思っていなかっただろうな。こう言っては何だが結果的に瓢箪から駒が出た形になったな毛利家にとっては」
「その瓢箪から駒が巡り巡って殿にとっては頼りになる舅様が出来たということですな」
話していた供の1人が少しおどけた感じで言った。
「そういうことだ。頼りになる舅殿だ」
隆家は~まさにその通り~という顔で頷きながら答えた後にすぐ笑顔になりこう言った。
「もっとも許嫁の方は本当にまだ実感がわかないけどな」
一行は郡山城の大手口の手前までやって来た。
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