行き交う誰もがうだるような暑さから逃れようとしている中で、僕は汗を垂らし時折痛む膝に顔をしかめながらも、慣れた自転車をひたすらこぎ続けていた。
あまり暑いとは思わない。むしろ、心地よかった・・・まるで青春時代に戻った気分だったからだ。
昔は、早く練習がしたくて体育館に一番乗りし、鍵を開けた瞬間にむわっとまるで湯気が一斉にこちらに向かってくるような空気の壁に逆らって中に飛び込み、窓をすべて開けて空気を入れ替え、部活仲間が来るまで一人で黙々とシュートの練習をし続けていた。初めてまともに教えてもらえたシュートの練習は、シャツが絞れるくらい汗をかいても、どれだけ疲れても楽しくて。
更に数年前には、太陽がギラギラと睨みつける炎天下で、何キロも走り続けた。たくさんの期待に応えたくて、いつも中途半端だった自分が輝けて。歩けなくなるかもしれない背中の怪我もあったけど、最後の大会でゴールした時は仲間が抱き着いてきて涙と共に言葉を掛けてくれた。
・・・そんな、眩しかった日々。
印象強く残っているのは、蝉時雨。
田舎で育った僕には、夏になると蝉時雨が付きまとう。
体育館の中まで響き渡り、外を走っていたら降り注いでくる。
全力のあつい日々の思い出のそばには、いつも蝉時雨。
あれから、ずいぶん遠くまで来た。距離も、時間も。
それでも今この時に降り注ぐ蝉時雨は変わらずやかましい。
まるで、仲間たちがやたら疲れて老け込んでいる僕をからかうように。
それでも、それが心地よい。
だから僕は、蝉時雨が好きだ。
だから僕は、暑い夏が好きだ。
だから僕は、照りつく太陽が好きだ。
今日も、汗をこぼしながら自転車であてもなく出かける。
周りの人は、またか・・・と、あきれている。
それでも僕は、あの日と同じように蝉時雨を追いかけるんだ。
何かを、探し続けるように―――――
はい、謎小説風ブログ再びwww
内容に嘘は無いですけど、たまに物書きしたくなる(笑)
おかしいな、今日はホントは「名も無き・・・豚!」のはずだったのに orz
それでは読んで下さった方、ありがとうございました