政権交代後も、法務省関係の審議会の人選には大きな変化は見られなかったのですが、ここでは副大臣も入っているなど、民主党政権らしさを感じます(ただし、有識者サイドの委員は、法務省関係では常連の方々です)。もちろん、このワーキングチームが、どういう道筋を出すかは、まだまだ分かりませんが。


法曹養成制度に関する検討ワーキングチーム(法務省ホームページ)
http://www.moj.go.jp/shingi/shingi03400004.html


委員名簿
http://www.moj.go.jp/content/000036259.pdf

なお、第1回会議の配付資料は、法科大学院・新司法試験制度に関する、様々な意見がまとめられています。

http://www.moj.go.jp/housei/shihouhousei/housei01_00003.html


司法試験予備試験サンプル問題の公表について(法務省ホームページ)

http://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji07_00005.html


実務科目では法曹倫理に関する出題も見られます。


新司法試験受験資格試験と言っても良い予備試験は2011年から実施されますが、試験のスケジュールは5月に短答試験、7月に論文試験、10月に口述試験が実施されることになっています(参考:「予備試験の実施方針について 」。要は旧試験と同じ)。ですから、2011年に予備試験に最終合格したとしても、2011年の新司法試験も既に終わっているわけですから、2011年に予備試験を合格された方が、新司法試験をはじめて受けることができるのは、2012年5月の新司法試験ということになります。


ということは、2012年3月に法科大学院を修了し、新司法試験の受験資格を得た方と同じ試験を受ける可能性が極めて高いということになります。そして、2012年3月に法科大学院を修了する人の多くは、2010年4月に2年コース(既修者コース)、または、2009年4月に3年コース(未修者コース)で入学した人ということになります。したがって、これらの方々は、法科大学院の同期生や修了生(浪人生)だけでなく、予備試験ルートの受験生もライバルとして存在しうる、ということは想定しておく必要があります。法科大学院の在学生も、予備試験の動きはある程度、関心をもっておく必要があると思われます。


そして、これから法科大学院に入学する人は、予備試験の動きも注視する必要があるでしょう。また、予備試験の動向次第では、法科大学院に入学せず、予備試験で法曹資格を得る、というルートも検討する必要が出てくるように思われます。


あくまで仮定として、予備試験の合格者が数百人、果ては数千人単位で出された場合、その方々が、新司法試験を受けることになり、その分、新司法試験の合格率は下がることになります。そうであれば、それぞれの法科大学院が進めている定員削減の効果も、半減すると思われます(もちろん、定員削減により、少人数教育が充実することはありますから、その分の効果はあります)。


予備試験の動向は、これから法曹を目指す人、法科大学院関係者など、多くの人たちの利害に影響すると思われます。今後の動きは注視せざるを得ないでしょう。


なお、今後、憲法、民法などの実定法科目のサンプル問題も公表されると思われますが、これらの問題は、法曹選抜試験を行う、しかるべき人たちが作成したものですから、法科大学院における演習問題にも役に立つ可能性はあります(旧司法試験の問題(特に論文問題)が、新試験の受験対策に一定程度使えるのと同じ)。


検察庁のホームページより。


いわゆる足利事件における捜査・公判活動の問題点等について(概要)

http://www.kensatsu.go.jp/kakuchou/supreme/img/ashikagajiken.pdf


内容への賛否はともかく、捜査当局からこのような報告書が出され、公開されるのは、大きな進歩だと思います。その面は評価されるべきと思います。

ただ、再発防止策で、取調べの全面可視化論についての(賛否はともかく)言及がされていないなど、やはり検察庁の立場としての報告書に留まっているように思われます。


再発防止のためにも、国会という立法府の場における調査・議論も必要のように思います。

取調べ可視化の問題も、最終的な賛否やその内容はともかく、国会の場での徹底的な審議と判断に委ねるべきときが来ているように思われます。


法科大学院生・新司法試験受験生にもユーザーが多い、『民事法』が改訂です。


鎌田薫ほか『民事法1 総則・物権』

http://www.nippyo.co.jp/book/5297.html


日本評論社のホームページには、1のみの改訂が出ていますが、法学セミナーに載っていた広告によると、2、3も順次改訂とのことです。


購入を考えている方は、第2版を待つべきでしょう。

既に持っている人が買い換えるべきかは、改訂の内容次第ですが、ホームページからは、「民訴手続の流れの体系一覧ほかを新収録」とあるだけで、解説の書き換えや問題の入れかえ、手直しがあるかは分かりません。


法務省所管法人、元最高裁判事の理事長に無利子融資(asahi-com。朝日新聞)

http://www.asahi.com/national/update/0413/TKY201004130240.html


「相続させる遺言」の解釈についての「香川判決」(最判平成3年4月19日民集45巻4号477頁。家族法判例百選[第7版]89事件)で有名な香川保一・元判事です。


なお、あまり表立っては指摘されませんが、香川・元判事は、抵当権に基づく妨害排除を否定した平成3年3月22日(民集45巻3号268頁)の裁判長でもありました。ただし、この判例は、後に判例変更されています(最判平成11年11月24日民集53巻8号1899頁)。



第1回新司法試験公法系第2問(行政法)で出題されたため、新司法試験の世界でも有名になった制度。

一括指定の処分性に関して有名な最高裁判例(最判平成14年1月17日民集56巻1号1頁)もあるところです。


2項道路の制度については、近時、


秋山靖浩「不動産法入門[14]不動産の所有[5]建築基準法42条2項に基づく道路」法学セミナー655号(2010年5月号)88頁以下


にコンパクトな解説があります。ご関心のある方はどうぞご参照下さい。


法科大学院・新司法試験における行政法の学習では、建築基準法などの個別法の「分析」は求められていても、個別法に関する「知識」は求められていませんが、やはり知っておくと、より理解は進むものです。全ての判例、制度に関する個別法の知識を身につける必要も時間もないと思いますが、気になった制度については、調べてみるとよいと思います。


なお、都市法制については、

安本典夫『都市法概説』(法律文化社・2008年)も参照。

http://www.hou-bun.co.jp/cgi-bin/search/detail.cgi?c=ISBN978-4-589-03106-8&q=search&genre=&author=&bookname=&keyword=%93s%8es%96%40&y1=&m1=&y2=&m2=&base=search


酒巻匡「基礎講座 刑事手続法を学ぶ」法学教室355号35頁。

「特定の法制度について学習しこれを理解・修得する出発点は、いうまでもなく、制度を造型している実定法規の条文である。条文の文言とおよそ関連しない言説は、実用法律学の世界においては無意味な寝言に等しい。読者は、引用される刑事訴訟法規の条文の『言葉』を精読しその意味内容に留意しながら、本連載の叙述を読み進めていただきたい」

 ※強調等はESP。


→なお、条文の文言、文言・制度趣旨に立ち返った解釈の必要性については、刑事訴訟法の新司法試験委員によるヒアリング、採点実感等でも再三再四指摘されていることは、記憶に新しいところです。


同39頁。

「3.証拠法則と捜査手続の関連

 公判手続において取り調べられる『証拠』の主要部分は、捜査手続において収集・保全される。『捜査』とは、将来の公判手続に備えて、犯人と疑われ将来の公判手続に備えて、犯人と疑われ将来公判手続の一方当事者(被告人)となり得る者を発見・掌握する手続過程であると共に、証拠を収集・保全しておく手続過程である(189条2項)。したがって、捜査手続は、捜査活動の対象となった者に対する法益侵害・制約の合理的調整・規律という捜査法独自の観点と共に、正確な事実の認定のための素材である『証拠』収集の過程であるという観点から、証拠に関する法的規律と密接に関連するのである。このような視点は、捜査法を学習する際にも常に意識しておくことが有用であろう」