法学セミナー679号

http://www.nippyo.co.jp/magazine/5606.html


[特集]
民法(債権法)改正議論から民法を理解する

 

債権法改正論議の経緯と民法学習におけるその意義……松本恒雄
錯誤……鹿野菜穂子
債務不履行責任における「帰責事由」……山本敬三
危険負担制度の現代的課題……山野目章夫
瑕疵担保責任……潮見佳男
二者による三者間関係の構築……滝沢昌彦
要物契約の諾成化……渡辺達徳


執筆メンバーが、非常に豪華です。執筆メンバーだけ見ると、ジュリスト、法学教室並みです。


債権法改正につき、関心を持つ人は少なくないと思います。しかし、実際に改正するかどうか、改正するとした場合に条文をどうするかすら決まっていません。したがって、対試験との関係では、現行の条文、判例をしっかり理解することが優先されるとは思います。特に注意すべきは、固定化されたルール(条文・判例)を問う短答式試験です。現行の規定と、提案されているルールを混在すると、短答式試験で間違えることもあります(勉強をしているのに短答試験の苦手な方は、条文、判例、学説の整理がついていない点に原因があるとも考えられます)。


法制審議会は論点整理まで進みましたが、条文の原案はまだ出来ていません。会社法改正でもあったように、条文の原案作成の段階で、法制審議会の議論がひっくり返ることもあるでしょうから、まだまだ改正の方向性は、見えてきません(ちなみに、法制審議会はあくまで審議会ですから、法的拘束力のあるものではなく、法制審議会の議論と異なる条文案を法務省側が作成しても、何ら手続上の瑕疵はないと言うべきです)。

また本号では、宍戸先生の単行本(宍戸常寿『憲法 解釈論の応用と展開』(日本評論社、2011年))に、安念先生が書評を書かれています(同誌125頁)。


安念先生の書評より、以下、引用。

「憲法という科目の泣き所は、判例の過少(判例の絶対数ではなく、汎用性のある基準なり考え方なりを提示した判例の過少、というべきであろうが)と学説の過剰にあると思われる」


「最後に一つだけご垂教願いたい。本書(宍戸先生の本のこと-ESP補足)も『処分違憲』という言葉が使われているが、処分の(違法ではなくて)違憲というものをそもそも観念できるのであろうか。当該処分が、根拠法令その定める要件をすべて満足していてもなお『違憲』だということがあり得るのか、かりにあるとして、そうした処分はいかなる『瑕疵』を帯びるのか。折々考えてはいるのだが、馬鹿な考え休むに似たりで、さっぱりわからない。不敏な先輩を哀れに思って教えてもらえまいか」


処分違憲は確かによく分からない点もあり、悩みのタネの1つでもあります。また、印象論ですが、学者によってニュアンスが異なっているような気も。



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