落合誠一「会社法をどう理解するか-『会社法要説』を執筆して」書斎の窓603号14頁以下

「学生時代に聴講した三カ月(原文のママ)先生の民事訴訟法の講義において印象に残っている言葉の一つとして『法の円環構造』と言うのがある。つまりある法分野の授業の初めに習っている事項のシミが分かるようになるのは、当該学期の授業全体が終了し、すなわち当該法分野の全体構造が把握できてからであり、法は、その意味で円環構造をなしているというわけである。例えば、会社法の授業の初めに『株式の意義と種類』に関する講義を聞いたとしても、株式・株主の会社法における役割は、会社法の講義全体を聞いたうえでなければ、明確にならないし、民法の総則における意思表示の意味が分かるのは、債権法全体の勉学を終えてからである。したがって、法の勉強においては、まずその全体構造を把握することが大切であり、しかも全体の把握と細部の理解は、一体不可欠となっているのである」


法律を勉強する際に、大変参考になるコメントであり、強く賛同いたします。

そして、全体像を把握するに際しては、定評のある入門書を読んでみることが、有益だと思います。

私も学部時代、定評のあった入門書を、多数読みました。細かいことは忘れてしまいましたが、それぞれの法律の全体像を把握するのに、役立ちました。


さらにお勧めしたいのは、法律の勉強においては、その法律の目次(章立て)を常に参照して、自分の勉強している制度が、全体の中でどこに位置づけられるものなのかを確認しながら、すすめるのもよいと思います。


法律の勉強において、1つ1つの制度を勉強し積み上げていく過程が中心となると思いますが、他方で、1つ1つ制度が、どのように関連しているのか、という理解も大切だと考えています。


4月から法学部や法科大学院で法律の勉強を始めた方は、多いと思います。まだ4月ですが、人によっては、分からないことが多すぎて、法律の勉強に挫折しかかっている人もいるかもしれません。しかし、全体が分かってはじめて分かることも少なくありませんから、疑問点はまず横におき、とりあえず前へ進み、とりあえず一通り勉強してみる、という姿勢で前に進んで欲しいと思いますし、「最初は」それで良いのだと思います。


4月から勉強を始められた方、特に法科大学院生の方は、新しい生活のペースをつかむことに戸惑ったり、また、授業の課題で忙しい中にあると思い、そのような方々に、安易に「読書のススメ」をすること自体、憚られますが、以下の入門書は、知っていて損はないと思います。直接は民事訴訟法の入門書ですが、民法等の実体法の理解にも、役に立つ部分があります(法科大学院生・新司法試験受験生に限らず、民事法の理解には、手続法の理解も不可欠と考えます)。さらにこの本は、「難しいことを分かりやすく、しかし、正確に」ということが実践されている、貴重な本だと思います。


中野貞一郎『民事裁判入門』(有斐閣、2010年)

http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641135512

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