落合誠一『会社法要説』(有斐閣、2010年)186頁。
「株式会社という形態を使ってビジネスを始めたいとする人がいるにもかかわらず、国が1000万円を用意しなければそれはできないという必要が本当にあるかは、そう簡単な問題ではない。さらに株式会社形態は皆が広く容易に活用できるものとすべきであり、そうすることにより、私人の起業精神がよりエンカレッジされ、トータルとしてわが国経済の活性化・発展にとって有益となるかもしれない。そう考えると、最低資本金制度を廃止した会社法の立場は、適切なものであったとみるべきであろう
このようにいうと、すぐに株式会社形態の濫用が増えるのではないかとの反論があがる。しかしそもそも最低資本金制度が株式会社の濫用の防止に有用であったかは、それ自体相当な疑問がある。また会社を場として活動する様々なステークホルダーは、慈善あるいは公益のためではなく、基本的にそれぞれの自由意思で各自の利益の最大化を求めてステークホルダーになるのであるから、自らの責任において行動すべきが原則(ビジネスにおいて自己責任が基本である)である。したがって、法人格の濫用により皆が迷惑を受けるようになることが心配されることを理由として、『株式会社形態の利用を望む場合には、少なくとも1000万円を用意すべし』として国家がその利用に事前的な介入をする必要はないはずである。もし介入することがあるとしても、それは一般的に事後的なもの(例えば、裁判所による法人格濫用の法理の適用)にとどめるべきものであろう。国家によるパターナリスティック(paternallistic)な積極的な介入は、ビジネスの世界においては基本的に好ましいものではないからである」
賛成です。
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