村田敏一「財源規制に違反した株式会社の剰余金配当等の規整に関する幾つかの問題(1)」立命館法学333号・334号1467頁以下。

http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/10-56/murata.pdf

 

財源規制違反行為の効力については、有効説と無効説(ただし、無効説の中にも様々なものあり)が対立しています。

上記論文は、この問題につき、従来の議論を整理し、考察を加え、その結果、有効説が比較的妥当であることを示すものです。


村田先生が指摘されているように、会社法の条文上の文言との関係、無効説を採用した場合の不都合を考えると、有効説に分があるかな、と私自身は考えています。


ただ、有効説が前提とする民法理論には検討の余地があるかもしれません。有効説側は、無効説を採用すると、会社側の財源規制違反行為に基づく責任に基づく請求権と、株主側の引き渡した株式等の返還請求権が同時履行関係になる、と指摘しますが、果たしてその解釈は必然的なものか、また、会社に引き渡した株式の返還請求権につき、有効説は、民法422条類推で解決するとしますが、果たして民法422条の類推が可能か、ということは検証されなければなりません。


また、有効説は条文の文言(461条1項の「効力を生ずる」という文言)を、かなり重視しています。これに対しては、例えば、伊藤靖史先生は、「会社法の細かな文言によって、このような解釈問題の決着が付くものではない」(伊藤靖史ほか『Legal Quest会社法』(有斐閣、2009年)269頁。なお、初版より引用しています)と指摘されています。確かに、解釈は、条文の文言「のみ」では決まらないことも事実です。しかし、制定法主義をとる以上、条文の文言は重視されるべきであり、「細かな文言」であろうとも、文言であることは変わりなく、解釈上の重要な論拠になると言うべきだと考えます(しかも461条1項は、明確に「効力が生ずる」と書いてあるのですから、「細かな文言」とも言えないとも考えます)。この点については、村田先生も、「少なくとも会社法の解釈においては、『細かな』文言解釈は重視されるべきもの」(上記論文1494頁以下)と指摘されており、賛成いたします。