司法試験の受験回数制限で日弁連が対立(リアルライブ)
http://npn.co.jp/article/detail/50867660/
受験制限撤廃を多くの受験生が望むかは実はよく分からないところです。
というのは、受験制限が撤廃されれば、いわゆるベテラン受験生が生ずることになります。具体的には受験生が増えること、かつ、受験勉強を長くしてきた人が増えること、を意味します。
もちろん現在の新司法試験が受験勉強を長くすれば、合格する可能性が高まるものでもありませんし、現にそういう現象のようで、1回目受験生の方が有利である、とも言われます(ただし、平成22年度の試験からその傾向が変わった、との指摘もあり)。
しかし、新司法試験の第1ハードルである、短答式試験についてもそうかと言われると、そうではないような気がします。何だこうだ言っても、知識・情報の暗記が求められる、短答式試験に限っては、時間をかければその点数は上がる可能性が高く、現にそう言われています。
そうなると、いわゆるベテラン受験生が増えれば、短答式試験の平均点が上がるという事態が生ずる可能性が高いと思われます。
「なんだそれだけじゃないか」と言われるかも知れませんが、ここでは終わりません。短答式試験の平均点が上がれば、短答式試験の足切り点が上がる可能性もあります。というのは、現在の新司法試験は、前もって足切り点を設定していると言うよりも、どうも短答式試験の平均点から、事後的に足切り点を設定している可能性が高いからです(推測です)。また、受験生が増えれば、論文試験の採点のキャパシティーから、短答試験の段階で、受験生をふるい分けする必要も、より出てくる可能性があります。
そうなると、足切り点が上がることで、短答式試験に強い人の方が、試験に有利になります。というより、短答式試験に弱い人は、最終合格の可能性が低くなる、と言えます。なぜなら、論文がどんなにできても、短答のハードルでひっかかれば、それで不合格が確定するからです。
そして短答式試験は時間をかけた方が相対的に有利であり、その結果、若手(受験回数が少ない、という意味での若手)は相対的に不利と考えられます。現に過去の新司法試験で、仮に短答式試験のハードルが高ければ、合格者の内訳は変わっていた、具体的には1回目の人が有利な試験結果にならなかった、とも考えられます。
そうなると、相対的に浪人生は受験制限の撤廃を望むでしょうが、これから受験する人(特に法科大学院在学生やこれから法科大学院に入ろうとする人)にとっては、よくよく考えると、自分たちに不利になる可能性があるので、受験制限の撤廃に必ずしも賛成しない、ということになるのかもしれません。
以上からすると、受験制限の撤廃の問題は一筋縄ではいかない問題であります。
他方で現行の「5年で3回まで」は、合格率が70パーセント以上を前提とされたものであり、その前提が崩れた以上、緩和することは検討すべき事項だと思います。例えば、せめて5年に5回とするという案や、未修者コース出身者と既修者コース出身者で受験制限を別にする案など、色々考えられると思います。
受験制限制度がどうなるかは別として、受験生であれば、直近に受験する試験で合格する計画をたてるべきではありますが(遠い将来、受験制限がなくなる、という期待は持つべきではないでしょう)。
なお、記事で引用されている坂本弁護士のblog記事は以下。
日弁連法曹養成制度の改善に関する緊急提言(案) 「受験回数制限は今後も維持されるべき」だって
http://jsakano1009.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-3f19.html