東北大学法科大学院の平成22年新司法試験合格者の佐藤英樹さんのコメント。


東北大学法科大学院メールマガジン
第71号 02/15/2011

http://www.law.tohoku.ac.jp/lawschool/lawmm/vol71.html


○法律の条文の重要性
 一点目は、先生方からも言われていることと思いますが、条文がすべての法律問題・法解釈のスタートになるものです。よって、各法律の条文構造の理解が問題にあたるうえでは大前提になります。もちろん判例も同様に重要なのですが、判例もその根拠を条文に求めているのですから、やはりいちばん基礎となるのは条文理解になると思います。


 これは、各法律の全条文を暗記しなければならないというものではなく、例えば民法の中で「賃貸借」、「条件」、「法定担保」という用語を聞いて、少なくとも大体何条あたりであるとすぐに頭に浮かぶ状態であることと考えていただければよいのですが、これを試験までに押さえておくことが有用だと思います。


 なぜならば、択一試験の多くの問題が条文知識を問うものであることに加えて、論文試験で未知の問題にあたったときにおいても、その問題にかかわる条文さえ頭に浮かべば全く足がかりがない状態になることは避けられるからです。このとき関連条文をページをめくりながら探さなければならない状態ですと、おそらく時間内に充分な回答をすることは難しいでしょう。


 私自身択一試験を受け、もっと条文にあたっておくべきだったと反省したことを覚えています。そこで、少なくとも一度は各法律の条文を素読することをお勧めします。最近の択一試験においては細かい条文知識を問う問題が増加する傾向にあるので、その対策としても役に立ちます。


 また過去問の択一数年分をやり、自分の弱点を洗い出してからその部分の条文および基本書を読み返すという方法も、各法律のなかで自分が理解できていない部分を見つけることができ、条文理解を定着させることができます」
※強調はESP。