法学教室2011年2月号

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◆特集 「法と経済学」にふれよう
◇Ⅰ 「法と経済学」と日本法…マーク・ラムザイヤー/中里 実……4
◇Ⅱ 私法における法と経済学…飯田秀総……10
◇Ⅲ 公法における「法と経済学」の可能性?――租税法学の経験を手がかりに…藤谷武史……16
◇Ⅳ 公共政策分野における法と経済学…常木 淳……25
◇Ⅴ 法とファイナンス理論…草野耕一……32
◇Ⅵ 経済学者から見た法と経済学…渡辺智之……46


ただ、簡単に読めるか、と言われると、そうではないような気もします。また、学生向けかといわれると、「?」の論説もあります。

藤谷先生は公法学に対する法と経済学の可能性を書いているのですが、抽象的な記述が目立ち、学生向けではないような気がしました(ジュリストで書くような内容の印象)、常木先生のは公共経済学の紹介にとどまっており、それが「法と経済学」とどう関係するのかあまり理解できませんでした。草野先生の論説は、法と経済学と言うよりも、単にファイナンス理論を説明しているだけのような気も。


他方で、飯田秀総先生の「私法における法と経済学」(10頁以下)、渡辺智之「経済学者から見た法と経済学」(46頁以下)は、想定される読者、特集の趣旨を理解し、具体例を持ち出しながら、分かりやすく、他方で、論理明快な文章で書かれており、「法と経済学」について全く縁がなかった人にとっても、一読の価値のある記事だと思いました。


特に飯田先生の記事は、法律を学ぶ人にとって、身近なテーマから入られており、「法と経済学」について、全く知見がない人でも、「法と経済学は面白そうだな」と思わせてくれる記事だという印象です。


渡辺先生も経済学者の視点から、法学と経済学の接点を明快に示しています。また、「若干の学習案内」(同誌50頁以下)の「学習案内」は、これから「法と経済学」を勉強しようと思う人にとって有益です。


両先生の記事を読むと、「法と経済学は面白そうだ」と感じさせてくれます。また、「もっと、この分野を勉強してみよう」と思わせてくれます。


ただ、「法と経済学」を知っていたとしても、新司法試験(司法研修所入所試験)や予備試験(司法研修所入所試験受験資格試験)に「直結」するわけではありません。試験科目ではありませんし、法と経済学が最も使われている会社法ですら、法と経済学を知っていたからといって、商法の短答・論文試験で有利になるわけでもありません。となると、これらの受験生(法科大学院生)にとっては、それこそ、「法と経済学」の勉強を、「後回し」にした方が、「合理的」なのかもしれません。