NBL937号

http://www.shojihomu.co.jp/nbl/nbl100915.html


土屋文昭「判例雑感」NBL937号1頁


元裁判官で、現在は東京大学法科大学院の実務家教員である土屋文昭先生によるコメントです。ここでは、判例についての取り組み方、学説との関係がコンパクトにまとめられており、有益です。


全文を引用するぐらいの価値がありますが、それは(現行法上)できないので、一部分のみ引用。


「法科大学院の授業の中でも、実務では判例が支配的であり、確定した判例のある事案では事件の結果の予測もほぼ可能であることを、さまざまな具体的な事例を通して伝えている。そのせいか学生の中には、はやばやと判例を重視し、学説を軽視してしまう者も見受けられる。しかも、判例を所与のものとして、それ以上に思考を進めようとしない傾向さえある。しかし、これは望ましいこととはいえない。判例は、具体的な事件についての法的判断を示したものである。事実関係の評価や法解釈の説得力については、法の原理・原則からこれを批判的に検討し吟味する姿勢が必要である。法科大学院では、実務を根底から動かしている、このような法的思考力の養成こそが大事であると考えている」


「判例の理解には、判決文そのものを読むことが必要」


「『最高裁判所判例解説』が、実務上参照すべき重要な文献であることが広く知られるようになってきたことは、喜ばしいこと」


「さらに困るのは、判例自身のもつ限界をわきまえない批判に接することである。判例はあくまでも当事者の主張に対する応答としての判断にとどまるのに、そのような訴訟上の制約が十分には理解されていないようである」

→実体法学者が見落としがちな視点を指摘しています。