今年も刊行。


別冊法学セミナー『新司法試験の問題と解説2010』

新司法試験の問題と解説 2010 (別冊法学セミナー)/著者不明
¥3,000
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その年の新司法試験の論文・短答の問題と解説が1冊にまとまっており、便利な1冊であると思います。

ただ、出題趣旨等の発表前の刊行であり、解説が出題者が求めていた方向と一致するかは、まだまだ分かりません。やむを得ないところではありますが。


あと、冒頭の「法科大学院教育と新司法試験」という章では、著名な先生方によって、法科大学院制度や新司法試験についての一般的批評がされています。しかし、この本に収録する必要はなかったのではないか、という感もあります。というのも、主な読者である受験生相手に、法科大学院や新司法試験のあり方をあれこれ言っても、何ともならないわけですから(意地悪な言い方をすれば、この先生方に対する原稿料も、書籍代に跳ね返っているわけであり・・・)。他方で日本評論社には、単なる解説ではなく、法科大学院制度や新司法試験に対する提言も含めることで、予備校が出している解説書との差別化を図る趣旨もあるのかもしれません。


ただし、松本恒雄「法科大学院における学修成果と新司法試験の改善に向けて」同書8頁以下は、過去のデータから、修了直後の受験生が有利であること、法科大学院における成績と新司法試験の合格率の相関関係を示しており、「一般論として」法科大学院できちんと勉強し成果を出すことが、新司法試験の合格にも近付くこと、および、修了直後に合格することを第一の目標に設定することの重要性(時間をかければよいというものではないいこと)が改めて理解でき、受験生にとっても有益だと思います。もちろん、一般論ですから、法科大学院によっては成績との相関関係がないかもしれません。


また、短答の解説では、商法セクションにおいて、数問を藤本一郎弁護士が担当されていますが、出題から新司法試験委員の受験生に対するメッセージは何だったのか、この出題から、法科大学院生を含めた新司法試験受験生は、どのように勉強していけばよいのかを、限られた字数の中で丹念に分析した上で示しており、これこそが「新司法試験の解説」と強く感じました。


もちろん、受験生はこの解説を鵜呑みにするのではなく、合格発表後に出る出題趣旨、ちょっと時間が経ってから出る採点実感、ヒアリングを熟読する必要があります。