real or fictional?(hopping around)
http://www.law.tohoku.ac.jp/~hatsuru/hop/2010/08/real_or_fictional.html
「たとえば,会社法を学ぶときは,「会社」っていう訳の分からないモノが存在していて,なんて考えるよりは,株主・債権者・経営者っていう3人のアクターの間をどういうふうに利害調整するか,って考えることの方が単純明快なわけ。で,実際,たいていの会社法の教科書は,そういう視点から書かれているはずだ(そうじゃないのもたまにあるwww)。ちなみに,会社法を教えるときは,「会社法ってこの3人しかアクターがいないから,もっとたくさんのアクターが登場する民法なんかと比べると,単純明快で楽だよねー」って最初に言うことにしてるんだけど,どうもあまり実感されていないっぽいorz」
同感です。利害関係者の利益調整の法と考えると、会社法が体系的に見えるような気もしますし、あらゆる問題を良い意味でシンプルにすることができると思います。
ただ・・・。
「けれども,そういう国とか地方公共団体っていうのは切り離された存在じゃなくて,僕ら国民・住民の税金で運営されているものだよね,っていうことになると,「そのように追加給付をするなら,その分,消費税(でなくてもいいけど)を上げるんですか」っていう話になるし,あるいは,「そのように基準を緩めるなら,不可避的に不当な受給者の割合も増えて,その分,無断な給付にたくさんの税金が回ってしまう(そしてその分,また増税する)けど,それでもいいんですか」っていう話になる。後者の例は,生活保護とか水俣病認定基準とかに当てはまる可能性があって,ひょっとすると,現行基準っていうのは,その辺のコスト・ベネフィットのバランスを考えて作られているのかもしれない」
と、生活保護などの社会保障や国家補償の面でもコメントしていますが、(国の責任を問わず、国民の生活水準次第で支給される)生活保護と、(国に一定の責任がある)水俣病の認定基準を同列に並べるのは疑問。生活保護などの社会保障は国家財政をある程度考慮してもいいと思うのですが、水俣病の認定基準の国家補償の局面では、国家財政の点を簡単に前面に出していいのかは難しいところです。ただ割り切ってしまうと、不法行為債務者に財産がなければ、被害者たる不法行為債権者はその無資力リスクを背負わなければならないわけでもありますが・・・。
ただ、これまでの社会保障や国家補償の局面で、「原資は国民の税金」、「多額の支給は増税に導く可能性がある」という視点が抜け落ちていたのは事実だと思います。でもそれが強調されすぎると、「国に支給を求めたり、賠償を求める人たちを、税金でまかなうなんて不公平だ」という論調が出てくると、そういう訴訟の原告ないしその代理人に対するバッシングを誘発する危険も。森田先生もそこまで言っているとは思いませんが・・・。
さらに・・・
「他にも,「増税するなら法人税」なんてことをおっしゃる人々も,法人の背後にいるのは株主・債権者・経営者だよ,っていうことを理解していれば,「法人税増税したら,給料減ったり,解雇されたり,会社が外国逃げたりするでしょ」という予測がつくはずなんだけどね。いや,そういう帰結でも構わない,と腹をくくっているのならいいんだけど(いいのかw)」
とコメントされており、この点については、法人税減税派の人たちがよく言うのですが、本当にそうなのかなあと私は考えています。
例えば、税金は安いけど、犯罪に巻き込まれる危険があるとか、有能な人材が確保できないとか、国家ぐるみの謀略に巻き込まれるようなリスクもあるわけで、法人税を増税したからといって、そう簡単に「法人」が外国に逃げちゃうのかなあと思います。ただ、増税されれば、やっぱり派遣切りや、給料カットはありそうな気も。でも、それは労働規制次第かも。法人税増税派の人たちの多くは、労働規制強化派なので、表向きの解雇とか給料カットは起こらない可能性も(ただし、偽装請負とかの「抜け道」は起きうる)。この辺については、直感に過ぎないので、実証研究があったら見てみたいです。
でも、法人税を下げれば、会社に競争力がついて利益が出て、その結果従業員に利益が還元され、国民はハッピーになれるとも思いません。株式会社の利益は、「会社の所有者」(厳密な意味での所有者ではないですが)たる株主に還元されるものが会社法の建前ですから。そして、そこで言う「株主」っていうのは、結局は株式を持ち合いしている法人だったり、ファンドだったりで、一般市民とは遠く離れた人たちです。だから、法人税を下げれば、万事うまくいくかのような議論には賛成しかねます。
まあ、法人税を上げても、節税のテクニックが駆使されそうな気がするので、やっはり効果はないんだろうとも思います。他方で、法人税を下げて、消費税を上げれば、モノが売れなくなるわけで、法人の利益は結局上がらないんじゃないかと。
考えてみると、よく分からなくなる問題です。