司法試験委員会会議第64回(平成22年3月29日)で説明がされています。

以下はいずれも法務省ホームページから。


司法試験委員会会議第64回(平成22年3月29日)

http://www.moj.go.jp/content/000050043.pdf


民事大大問の廃止方針については、以下の理由が説明されています。
 

「これまで4回の試験において,民事系科目において大大問を出題してきており,受験者の理論的かつ実践的な能力を判定するという観点からは,一定の成果があったと考えられる。
 もっとも,実際の出題を4回にわたり重ねたことで,大大問という出題形式による制約や問題点も浮かび上がってきた。考査委員のヒアリング等でも度々言及があったが,その主な点としては,出題内容が限定されることが挙げられる。大大問として問うことができる事項には限りがあり,出題のバリエーションがおのずから限定されるため,幅広い事項を問うことができない上,出題傾向が探られやすくなり,大大問として出題されにくい事項の習得がおろそかになるという問題がある」

 

大大問の廃止の理由として、出題の制約が大きな理由として挙げられています。


試験時間の分割については、以下の点が説明されています。

 

「試験時間を分割する利点としては,第1問・第2問とで答案の取り違えがなくなること,一方の問題に時間を費やして,他方の問題が時間切れになるということがなくなり,各法律分野における評価をより適切に行うことができること,途中で休憩が入るため,受験者の負担が軽減され,特に,特別措置によって時間延長をする場合に過度な負担を与えずにすむことなどが挙げられる」

 

受験生の負担軽減が主な趣旨として挙げられています。ただし、前にも当blogで書きましたとおり、1科目を3時間、もう1科目を1時間、というような戦略(?)は使えなくなる点には注意が必要です。

 

なお、試験時間の分割で、「これで融合問題は消えた。旧司法試験と変わらなくなった」と決めつけるのはちょっと勇み足で、説明では、

 

「大大問を取りやめ,大問のみの出題としたとしても,公法系科目や刑事系科目と同様に,例えば,主として民法分野のテーマから出題する問題において,民事訴訟法の論点を問うなど,大問を融合問題として出題することは可能である」

 

とも述べられています。説明で挙げられているように、民法を中心とした問題に、民訴の論点を若干くっつけるなどの融合問題の可能性は否定されていないわけです。注意が必要でしょう。もちろん、融合問題の出題がが必須ともなってはいないので、純粋に1科目のみ聞くこともあり得ます。ただ、刑事系については刑法・刑訴が完全に分離されており、この傾向は続くと思われます(上記説明だけ読むと、刑事系についても融合問題が出題されていたかのような印象を受けますが、少なくともこれまではそうではなかったはずです)。

 

なお、一部blog 等で来年から新司法試験の短答式試験が最終日(4日目)になるのではないか?ということが書かれていましたが、以下で引用する会議録を読むと、そういう案が検討はされているようです。ただし、まだ検討段階であり、最終的にどうなるかは、正式な発表を待つしかないように思われます。


以下、会議録より。

 

「△ ただ今御決定いただいた短答式試験の一部共通化に関連して,平成23年の新司法試験の実施日程をどうするかについて次回お諮りしたいと考えているが,もしよろしければ,現時点での御意見をうかがいたい。予備試験を受験する層として社会人が想定されていることからすると,予備試験の短答式試験は,日曜日に実施するのが最も望ましいであろうと思われる。他方で,新司法試験は,従来は,水曜日,木曜日,中日を1日置いて,土曜日,日曜日という日程で組んでおり,水曜日に短答式試験,木曜日,土曜日,日曜日に論文式試験を実施している。新司法試験について従来の日程のまま,日曜日に短答式試験を実施するとすれば,新司法試験の受験者は,水曜日,木曜日,土曜日と論文式試験を受験して,最後に短答式試験を受験するという案が考えられる。そうではなく,新司法試験の短答式試験を論文式試験よりも前に実施するとすれば,まず,日曜日に短答式試験を実施して,その後4日間の間を置いて,次の金曜日,土曜日,日曜日に新司法試験の論文を実施するという案が考えられる。この場合には,新司法試験の日程は,従来とは異なることになる。
○ 短答式試験で一定の成績に至らなかった受験者については,論文式試験の成績は見ないことになる。短答式試験が後になるというのは,感覚的にちょっと何か変な感じがする。
◎ 私が所属している法科大学院の修了者を見ていると,短答式試験で出来が悪いといって悲観してしまう者がいる。教員としては,それでも頑張って論文式試験まで受験するようにと言っているが,短答式試験と論文式試験との間に1週間空いてしまうと,正解は何だといった流言飛語がなおさら飛び交って,ますますそのように悲観する者が増えるのだろう。短答式試験が後になることは,理屈としてはおかしくないが,ちょっと変かなという気はする。
○ 短答式試験と論文式試験の日程を分けることについては,遠隔地からの受験者のことが気になる。受験地との間を二往復させることになるのではないか。そのような受験者は相当数いると思う。いったん帰らずに受験地で宿泊を続けるとなると,それはそれで結構大変な負担になるのではないか。
◎ 新司法試験では,沖縄や四国など,地元で受けられない受験者が一定数出ている。アウェイで受験しなければならない受験者の負担は,考える必要があるだろう。
○ 新司法試験では,短答式試験で不合格となるはずの者でも,論文式試験を受験している。短答式試験が後になっても,論理的な問題はないと思う。短答式試験が後になることの感覚的な違和感よりは,受験者の便宜や実施上の便宜を考えた方がよいのではないか。
○ 予備試験の日程は,その受験者がどのような人々かということにも関わってくるだろう。例えば,家庭の主婦であれば,日曜日よりも,むしろ,子供が学校に行っている平日の方が良いという見方もあるかもしれない。もちろん,会社員の方もいるわけで,会社員は,確かに,休暇を取得しなくて済むので,土日の方が良いだろう。
○ 社会人となった新司法試験受験者にとっては,短答式試験と論文式試験との間に間隔が空くというのは,大変なのではないか。日曜日にいったん短答式試験を受験して,次の週末に論文式試験を受験しなければならないとすると,その間にいろいろな業務の予定が入ってくる可能性もある。そういうことを考えると,新司法試験の日程は,できるだけ詰まっていた方が助かるということもあるのではないか。
◎ それでは,平成23年の新司法試験の日程の件は,次回,改めて協議することとしたい」

※アンダーライン、強調はESP 


「どうして予備試験の実施がされると、新司法試験の短答式の日程も変えなければならないの?」という疑問が出てくると思いますが、これは予備試験と新司法試験の短答問題の「一部」共通化の提案に関係しています。引用していませんが、この日程の議論の前に、予備試験と新司法試験の短答問題の共通化が議論されています。こちらは決定事項であり、この方針で進みます。すなわち、一部でも共通化となれば、別日程で実施するわけにはいかず、同日開催をせざるを得ません。で、予備試験は旧試験と同様に、短答、論文、口述の日程が分離し、予備試験の受験者層に社会人等が多く想定されていることからすれば、予備試験の短答式試験は休日である日曜日に実施される方向のようです。それ自体は妥当でしょう。ただ、そうなると、必然的に新司法試験の短答式試験も、日曜日にしなければならないことになります。現行の新司法試験は、水・木・土・日ですから、その日程に合わせるとすると、短答試験を最終日にすることになるわけです。ただ、上記議論を見れば分かるように、最終日にすることには異論もあるようで、まだ決まったわけではないようです。


以上のように、予備試験の開始と共に、新司法試験にも影響が出てくる可能性があります。来年およびその先の新司法試験を受験予定の方は、今後の情報に注意が必要です。