中野貞一郎先生の「はしがき」には、含蓄があります。
中野貞一郎『民事執行・保全入門』(有斐閣・2010年)
はしがきⅰ頁以下
「大学で強制執行法の講義を始めたばかりのときに、強制執行制度改革の端緒となった法務省の執行吏調査(昭和31年・32年)の一部に参加して、動産執行や不動産競売の実態があまりにも教科書や法条からのイメージと違うのに驚き、現実と対決する実務を正しく理解する必要があることを痛感した。その後も、債権執行と不動産競売の実態調査の機会が与えられたほか、地裁・高裁の執行・保全判例からは多くの教示を受けてきた。民事執行法および民事保全法が立派な成果を挙げつつある現在においても、民事執行・民事保全の領域では、学説は実務に対して常に謙抑でなければならないと信じている。本書の記述もその線に沿ったつもりである」