「違いの分かる男」というフレーズは、どこかのコーヒーのCMにありましたが。


立証趣旨と要証事実は意味が異なります。


古江賴隆「演習」法学教室341号170頁

「Bさん:設問では、「立証趣旨」となっていますが、「要証事実」と同じ意味なのですか。

 教員:同じ意味ではない。立証趣旨は、当該証拠の取調べを請求する当事者がその証拠によって立証しようとする事実だが、それがそのまま要証事実だとは考えられていないんだ。最決平成17・9・27刑集59巻7号753頁も、『立証趣旨が「被害再現状況」、「犯行再現状況」とされていても、実質においては、再現されたとおりの犯罪事実の存在が要証事実になると解される』と判示し、立証趣旨と要証事実とを別物と理解しているんだ。ある書面の立証趣旨を『XがVを殺したのを見たとの記載のある書面の存在』として証拠調べ請求がされた場合であっても、その書面が実質的には犯罪事実の存在を証明するために用いざるを得ない場合には、要証事実は、『XがVを殺した状況』にならざるを得ないだろう。要証事実とは、『具体的な訴訟の過程でその証拠が立証するものと見ざるを得ないような事実(いわば『必然的に証明の対象とならざるを得ないような事実』)」(三好幹夫「伝聞法則の適用」大阪刑事実務研究会編著『刑事証拠法の諸問題(上)』66頁)を言うんだ」


※なお、古江先生の今回の演習テーマは、再伝聞でした。