青柳幸一「裁判員制度と報道」ジュリスト1370号172頁以下

「最高裁判所も、表現の自由が『基本的人権のうちでもとりわけ重要なものであ』(最大決平成10・12・1民集52巻9号1761頁)ることは認めている。ただし、職業の自由の規制の合憲性をめぐる判決における『二重の基準』論を容認するかのような判示は『「口先だけの告白」にとどま』り、表現の自由の重要性の是認が、表現の自由を規制する法令の合憲性を審査する最も厳格度の高い『厳格審査の基準』とは、結びついていない。他方、憲法学説は、一般に、表現の自由の『優越的地位』を認め、表現内容に基づく規制の合憲性を『厳格審査の基準』で判定する。しかし、表現の自由の原理論や審査基準論が十分に議論され、理解されているとは、なお言い難い。例えば、『優越的地位』論は表現の自由の絶対的な保障を意味するわけではない。また、『合理性の基準』の下の観念的・抽象的な審査が問題であるばかりでなく、『厳格審査の基準』を違憲という結論に直結するような一面的な審査にも問題があり、いずれの場合にも、事案の内容に即して個別的・具体的に検討することが必要である」