懐古 | 「人の痛みがわかり、患者さんを身内の如く」を心がけている歯科医院です。

「人の痛みがわかり、患者さんを身内の如く」を心がけている歯科医院です。

医療の基本がお互いの信頼関係の構築と考えています。
患者さんの素朴な疑問に「傾聴する」姿勢が最も大切と考えています。
「相手を思いやる気持ち」を大切に、
前向きに研鑽を積んでいきますので、皆さん御教授の程、お願い致します。

卒業後の進路は、大学に残る人、即務めに行く人といます。私は後者を選びました。国家試験に合格し、すぐに開業医に面接に行き数件の中でお互いがマッチした所を選択しました。しかしまだ保険医の登録が下りていないので見学の毎日でした。まず驚いたのが当事の開業医の患者数の凄まじさたるや正に戦場でした。院長からまずスタッフの女性がやることから始めましょうとの事で水を吸うバキュームワークから始めました。院長の捌きが早いので着いていけずたびたび取り上げられました。しばらくして型取りをしましたが大学で習った材料は全くつかわずスタッフの方の方が手馴れていたと思います。根の先に膿を持つ治療は建物で言う基礎工事で見えないところをしっかりやればその後のトラブルも極めて少なくなるんです。大学のつもりで納得いくまでやるつもりで勢い込んでいたら院長からきみは趣味の世界ですか?
ここは開業医ですよ!きみが名のある先生なら患者さんもついてくるがただ遅い、下手としか思われないぞ!!きみはいつ薬を根の中にいれ、かぶせるんだ!きみのように間に合わなくても給料は出さねばならないんだよ。世間を甘く見るなーーー!!そのときの光景は今でも蘇ります。しかし今思えば保険治療の範囲で採算を度外視して実際やれるかどうか・・痛いほど当事の院長先生のおっしゃる事の現実性は自分が開業医してみてなるほどーと思います。理想論でできるほど世間は甘くない事をいやというほど思い知らされました。いわゆる出来高払いの保険点数で良かれ悪しかれやった行為に点数があるんです。入れ歯でも心地よく噛め、おいしく食事ができたら・・ではなく入れ歯が出来たら何点ですから。では良い入れ歯を作るために最高の材料と過程、手法を屈指すればより良い物ができる確立は高いの自明の理ですが、技巧代金、人件費、その他諸経費を鑑みれば使用できる型取りの材料にすらも選択が決まってくるんです。保険点数と患者さんに満足のできる入れ歯、そして諸経費とのからみで一時悩んだこともあったのは事実です。いわゆる保険外の診療なら現実患者さんにとって良い入れ歯ができる可能性は極めて高くなるかもしれません。根の治療も上にかぶせる材質によりうんぬんしようとはどの開業医の先生も思ってはいないんでしょうが、現実納得いくまでして成り立つのかどうか?現在歯科業界は極めて厳しい状況下である・・という暗いイメージと現実に直面していますが、物の考え方を変えれば一人一人の患者さんのニーズにどれだけ真摯に受け止め対応してきたか。治療優先できてただただわき目も振らず職人肌で来たのではないか、予防、説明その他今まで自分は蔑ろにしてきたのでは。今の結果は政府のせい、誰々のせいというのは簡単ですが、実は自分が努力を怠ってきた結末では・・と置き換えて考えれば本当の意味で患者さんの痛みが解っていたのかと大いに反省材料があると思います。どんな理論、技術、機器をもってしても、親身に患者さんの事を思わず技にのみ走れば結末は寂しい結果となるやもしれないと。
折り返し地点を向かえしみじみと自分自身初心に戻り医師本来の姿を考えてみたいと思います。