手術を終えたばかりの外科医から説明を受ける。
ホワイトボードに図を描きながら、分かりやすく説明してくれる。
手術はほぼ予定通り行った。
肋骨が硬かったので1本折った。
(1か月ほど鈍痛があるかもしれない)
術前説明で肝臓にのう胞(肝のう胞)があると言ったが、実際見てみると予想外に大きい。
ハンドボールほどの大きさで、どうしようか考えたが、そのまま残すことにした。
肝のう胞が邪魔で手間取った。
この大きなのう胞のせいで、周辺の組織が硬い繊維状になっていた。
食道の再建(胃管)は、術前には胸骨後を予定していたが、それだと肝のう胞に圧迫されて、飲みこんだ物が上手く通らないので、
食道癌の手術は、他の手術と違って、手術直後よりも術後2~4日に具合ががくっと悪くなる事がある。
手術翌日にわりと元気でも、その次の日はだいぶ容体が悪くなる事もある。
術後2~4日→脈の乱れ、胸のぜこぜこ、発熱など(たいてい皆にある)
術後5日目→熱がある場合は縫合不全の可能性あり
ということで、術後5日目の12月1日がひとつのメド。
切り取った食道と胃、リンパ節は病理検査に回し、1週間ほどで結果が出る。
輸血について。
輸血はしない。
父はもともと貧血気味だが、今後も状況次第ではあるが極力輸血は避け、自身の回復力に頼る。
執刀医の説明が終わり、父の術後の処置に50分ほどかかるので、面会の準備が整ったらまたPHSに連絡するので、待合室で待っていてくださいとのこと。
母と姉と待合室で
「ぜこぜこって方言?」
「肝のう胞、ハンドボール大って言ってたね」
「ハンドボールってどれくらいだっけ?」
「けっこう大きいよね?」
「そんなものがお腹の中にあって大丈夫なの?」
など話しながら待つこと1時間。
20:00ごろ、PHSが鳴る。
3人でICUへ向かう。
荷物を置き、手を洗い消毒し、マスクを付け、父のベッドへ向かう。
目は閉じていたが、話しかけてみるとうっすらと目を開けた。
「また明日来るね」と声をかけ、病院をあとにする。