「彼女は頭が悪いから」のレビューを書いていたら、ムナクソ悪くなってしまったので(作品そのものは、まぎれもなく傑作です)、今回はレビューをお休みして、遊びます。タイトルのこのテーマで。

 

今回、そして最後に取り上げるのは、蒙恬(もうてん)。

「キングダム」のおかげで、いきなりメジャーになったこの人。

実は「秦による中華統一」には、史実的にはまるっきり貢献していません。

 

それでも、昔には教科書に一行だけ名前が載っていました。将軍としてではなく、「雑貨系」の人として。

 

そう、蒙恬は、少し前まで「毛筆」の発明者とされていたのです。毛筆発明までは、木簡をガリガリ削って、文字を書いていたのですね。毛筆って、そりゃ、便利なわけで。

ところが、「蒙恬が毛筆を発明した」というのが、前世紀末にガセネタだと判明しまして・・・・・・たった一行の教科書の記述も削除。

 

それが、今となって、青年コミック「キングダム」のサブヒーローとして、踊り出てくるとは。

弟の蒙毅も美少年設定ですが、兄の蒙恬は、それを上回る「庶民的イケメン王子さまキャラ」。断っておきますが、史実の蒙恬、蒙毅兄弟に「美形設定」はない。

 

だいたい、中国の正史は、人物の容姿を具体的に記述しません。特に、男は。

唯一の例外は、三国志の荀彧。「立派な容姿をしていた」とあります。これは、当時では、相当のイケメン設定。

周瑜はどうか。言わずと知れた「美周郎」。しかし、「美」とは当時では、「羊が大きい」つまり「肥っている」ということなのでした。

 

とにかく「キングダム」の時代、秦を支えた二大武家、王氏と蒙氏。圧倒的に活躍したのは、王氏です。

 

でもまあ、この漫画の蒙恬、良いキャラですね。