矢崎存美さんの「キッチンぶたぶた」(光文社文庫)

 

    バラの花におおわれた洋食屋”キッチンやまざき。”

    料理の腕をふるうのは、バレーボールくらいの大きさのピンクのブタのぬいぐるみ、ぶたぶたさん。外見はぬいぐるみですが、心はやさしいおじさんのぶたぶたさん。そんな彼の作る料理は心あたたまるものばかり。

    そして、料理を作るぶたぶたさんは町の有名人で人気者。周囲の人々の心をあたたかくしてくれます。

    4編からなる連作短編集。

 

 

   「ぶたぶた」シリーズの第12作目。しかし、単独で読んでも、きちんと理解できます。

 

   有能なブタのぬいぐるみ、ぶたぶたさんが、今回は洋食屋のコックとして登場します。

   出てくる料理は、ナポリタン、ガンボスープ、プリンなどどれもおいしそうですが、飯テロというほどには料理にじゅうてんがおかれていません。

 

    それよりも、ぶたぶたさんと、彼の作る料理を介して関わる人たちの関係に焦点があてられています。

 

    ちなみに私が一番好きなのは、ぶたぶたさん誘拐事件を扱った、4話目の「初めてのバイト」です。