このゲームについては電撃オンライン の記事が詳しいので、
システムや世界観について把握していない人は先に読んでいただければ。


このゲームのほぼ全ての点において言えることだが、
上で紹介した記事で触れられているような、「面白くなりそうな」試みが
多数盛り込まれてはいることは評価したいが、
いずれも消化不良で洗練されておらず、「楽しさ」にはあまりつながっていない。

戦闘を例に挙げてみよう。
システムとしては、敵・味方の位置取りも重要になってくるアクション要素のあるもの。
見た目は「スターオーシャン」や「テイルズオブ」に近い形だが、正直出来が悪い。
まず、戦闘中のミニマップ表示がないのは致命的な欠陥(※)
キャラクターごとの必殺技などもあるにはあるが、使うメリットも楽しみも薄いため、
序盤は「攻撃ボタンの連打」、中盤からは「パージして詩魔法で蹴散らす」
という決まりきった単調な戦闘になりがち。戦略性も爽快感もなく、正直面白くない。
このゲームのウリの一つである「パージ」システムも、
プレイヤーに積極的なパージをさせるためか、中盤以後は
前衛による物理攻撃ではあまりダメージを与えられないザコ敵が急増し、
前述のように、ほとんどの戦闘で「充填率を上げる」→「パージする」→「詩魔法発動」

という固定パターンを繰り返すだけの戦闘になってしまっている。
また、アイテムはペナルティも待ち時間も無しに連続で使えるので、
強敵相手でも、回復アイテムを乱発していれば勝ててしまうのも、大きな欠点。
操作キャラ以外は自動で動くが、作戦や命令が設定できず、頭も悪い。


長くなるので詳細は省くが、ストーリーや演出も単調さ、平坦さが否めず、
この世界やゲームそのものにのめり込むには至らなかった。

全体的にあと2,3歩ずつ作り込み、練り込みが足りないゲームだと思う。


メニューを開いたときなどにはマップが見られるが、キャラを動かしているときは見れない



6.5 グラフィック
PS2に毛が生えたレベル。
7.0 サウンド
自動生成のBGMは面白い試みだが、あまり耳に残らないし、臨場感UPにも繋がっていない。キャラボイスは上々。
6.5
操作性・快適さ
戦闘前後のロードは多少気になるがすぐに慣れる。問題なのは、ダンジョンや街の移動時のひどく見にくいカメラ視点。入り口・出口すら分かりにくい場所もある。アイテムの管理や売買もしにくい。
7.0 ボリューム
ノーマルエンドまで20時間足らず。マルチエンディング、マルチヒロインなので繰り返し遊ぼうと思えば遊べるが…
6.5 総合
いろいろと新しい試みを導入してはいるが、いずれも中途半端すぎて、ゲームとしての楽しさにはつながっていない。キャラや世界観にハマれる人以外には少々厳しい。


似非ログ ゲームレビューから体験版インプレッション、海外記事翻訳まで

似非ログ ゲームレビューから体験版インプレッション、海外記事翻訳まで
欧州のFF13公式サイトに、ディレクター鳥山求氏のメッセージが掲載されています。

「プレイヤーのみなさんが、ドラマと、新鮮でエキサイティングなコクーンの世界に
夢中になっていただくため、そして気をそらされることなく、迷うことなく、
登場人物に感情移入していただけるように、導入部は敢えて一本道にしていますので、
まるで映画を観るような感じでお楽しみいただけます。」

「私たちは、ドラマチックなイベントを繰り返し、次々に印象的で雰囲気のある戦場を
駆け抜ける、FPSスタイルのゲームで体験できるような感覚を目指しています。
このようなゲームデザインは、少しずつ、体系的に、全く新しい戦闘システムを
習得できますから、プレイヤーにとっても非常に有益です。
プレイヤーは、戦闘でそれぞれのキャラクターが成れるロールを試しながら、
自然に、"パラダイムシフトシステム"の戦術性をモノにすることができます。」


海外での「1本道すぎる」という否定的なレビューには、
これまでにも似たような内容で度々反論してはいましたが、
ふつうのゲーム情報サイトのインタビュー記事だけでなく、
公式サイトにまでこういったメッセージを掲載するのは、開発陣としてもやはり
否定的なレビューの数々をかなり気にしている証拠といえるかもしれません。
TeamXboxの北瀬&鳥山氏へのインタビュー記事が掲載されています。

ゲームに入れたかったけど、入れられなかった要素は?
鳥山:製品版では特定の場所で(自動で)ジャンプをするようになっていますが、
最初はスーパーマリオのようにプレイヤーが自由にジャンプできるバージョンを
試しました。フィールドの探索がゲームの主な目的ではないので、
それは最終的にはカットしました。テンポを良くしたかったですし、
ストーリーを良いペースで途切れさせずに展開させ続けたかったので、
フィールドでの余分な行動は製品版では必要ないと思い、採用しませんでした。

他にもいろいろ面白いことを聞いているので読んでみてください。
SCEAのバイス・シニア・プレシデントRob Dyer氏が、PSPについて語っています。

「昨年、かなり良いラインナップを揃えることが出来ましたが、最大の問題だったのは
違法コピーです。それをスローダウンさせることができませんでした。
解決するいくつかの方法を用意していますが、現時点ではまだ話すことはできません。
とにかく、重要な問題なので、改善すべく取り組んでいます。」

「とは言っても、今年もまだ、PSP向けには、MGS:Peace Walkerをはじめとして、
サードパーティからの非常に強力なラインナップがあります。サードパーティ自身に
発表してもらいたいので、全てのラインナップを明かすことはできませんが、
非常にビッグなタイトルがいくつかあり、それらはGDC、DPS(※)、E3で発表されます。」


※Destination PlayStation。SCEAが毎年開催している小売業者向けのカンファレンス。
 去年は2/25開催だったようです。

ソース:industrygamers
techdigest.tvに、北瀬&鳥山コンビへのインタビュー記事が掲載されています。
ちょっと訳がいい加減なところもありますが、全文訳してみたのでどうぞ。


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ここ10年、FFシリーズはプレイステーションブランドと密接に関わっていました。
MS・Xbox360でもリリースすることを決めたのは?

北瀬:第一に、開発チームの観点から、マルチプラットフォームのゲームを作るのに
適した環境ができたということです。また、Xbox360が世界中でより人気が
でてきており、出来るだけ多くの人にFF13を楽しんで欲しいと思ったからです。

特にディスク容量に関して、PS3とXbox360の間には、パワーや出来ることに
差があります。マルチでの開発上、それは問題になりませんでしたか?

北瀬:PS3版はブルーレイ1枚のみでリリースされますが、Xbox360版はDVD3枚になります。
3枚のDVDの中に全てのデータを割り当てるのに苦労しましたが、上手くやれたと思います。
プレイヤーはゲーム中に2回、ディスクを交換するだけなので、
この違いがそんなに煩わしいものにはならないと思います。

ディスクチェンジは「進んでいる」という感覚が得られますよね。
昔のプレイステーションのFFでも、新しいディスクに到達することに
わくわくしていたのを思い出します!

北瀬:(笑)ええ、私もそう思います!

FF13は、シリーズの伝統的な要素と、真新しい要素の融合のように思えます。
FF12のMMO的な感覚よりもずっと、流れるような、馴染みやすい戦闘システムです。
FF12における戦闘から離れるという意図的な決断だったのでしょうか?

北瀬:FF12の戦闘には独自のメリットがあり、特にシームレスという点で
素晴らしかったです。しかしながら、フィールドマップのデータと
バトルシステムのデータを、メモリの限られた容量に詰め込む必要がありました。
その結果、シームレスではあったものの、過去のFFシリーズにあった、
あっと言わせるようなところが不足しているという面もありました。
フィールドとバトルのデータを切り離してこそできる、より素晴らしい
ビジュアル的なインパクトをもつものを作ろうとしました。
FF12ほどシームレスではないかもしれませんが、ヴィジュアル的にはずっと魅力的です。

キャラクターについて。野村哲也氏が再びキャラクターデザインを行いました。
彼には細かい指示を出したのでしょうか。それとも自由にやらせたのでしょうか?

鳥山:ストーリーとキャラがそれぞれ独立して存在することはできませんから、
まずはじめに、ストーリーとキャラクターについての基本的なコンセプトを作り上げました。
これらを野村に提示し、そして彼からフィードバックを得ます。それから、
各々のアイデアや問題を基に、それぞれのキャラクターの見た目の細かい調整を行いました。

新しいFFを作る上で貴方を駆り立てるものは?よりパワフルはハードウェアへの進化、
あるいは、より良いストーリーや戦闘のコンセプトですか?

鳥山:まず第一に、我々が決定すべき重要な要素が2つあります。
ひとつは「表現したい世界観」と、もうひとつは仰るような「作り上げたい戦闘システム」です。
一度それらが決まれば、そこから全てが始まります。

過去のFFシリーズの世界観は、明確な映画の影響がありました。
FF13のアートディレクションに影響したものは?

鳥山:今回の世界観はまさにファンタジーベースであると同時に未来的です。
FF13については、これといって参考にしたようなものは全くありません。とはいえ、
映画Avatarが我々からインスピレーションを得たかもしれないとちょっと疑ってます!

それは私も思いました!MassEffectやFallout3のような西洋のRPGについては?
特に欧米の国々で、それらはかなりの人気を得ています。
よりアクション寄りな方向性の欧米のRPGデベロッパについてどう思いますか?
どのように、伝統的な日本のRPGに立ちはだかるでしょう?

鳥山:MassEffectやFalloutはプレイヤーにより多くの自由を与えます。
そして、彼らのストーリーラインの範囲内でそれはかなり上手くいっていると思います。
しかし、我々は戦場での緊張感をより伝えてくれる、
Call of DutyのようなFPSのほうに、より興味を持っています。
そういった類のゲームからインスピレーションを得ることもあります。
私たちを興奮させてくれるのは、RPGだけでなく、FPSでもあります。

あなた方はおふたりとも、私の心を強く打ったFF7に関わっています。
FF7リメイクの可能性については常に噂がありますが、
個人的にそれを望んでいますか?リメイクの必要があると思いますか?

北瀬:一年以内にFF7リメイクの準備と開発ができるような設備と状況があれば
ぜひとも取り掛かりたいところですが、FF13でも作るのに3年半以上かかりました。
FF13と同じようなレベルのグラフィックでFF7を作り直すのならば、今回のFF(FF13)に
かかった3年半よりも、さらに3~4倍の時間がかかると思います。それは、
かなり非現実的でしょう。しかし、万が一そのような状況ができれば、ぜひやりたいですね。

開発スピードを上げるために、ヘイストが使えたらいいんですけどね!
お時間をいただき、ありがとうございました。