世界で1400万本以上を売り上げた大ヒットFPSの続編である
コールオブデューティー:モダン・ウォーフェア2は、
「特に目新しさはないが、研ぎ澄まされたグラフィック・操作性に
凝ったストーリーや迫力のある演出を加えた秀作」
といった評価だった前作の、正当進化といえる作品になっている。

改良されたグラフィックエンジンにより、より広く複雑な地形を実現し、
ライティングやオブジェクト数も目に見えて向上している。
演出は、ゲーム史上最高とも言われた"アンチャーテッド2"の後に見ても
引けを取らないし、操作性も前作譲りで、ほとんど文句の付けようもない。



ただ、前作から決定的な進化があるかと言われれば、返答に窮するのも事実だ。
キャンペーンモードのマップは広くはなったが、それによって戦略性が増したかといえば、
そんなことは無く、前作同様スクリプト(※)に縛られているので、面白みに欠ける。
レベルデザイン自体はかなり良いのに、それが生かしきれていないシーンが多かった。
「ここは敵が多いから、あそこに隠れて少しずつ倒しながら進んでいこう!」
などと、戦略を考えながら遊ぶ自由が奪われているのだ。

もちろん、それができるミッションもあるが、常に「ここは無限沸きなのか?」という
疑念とも戦わなければいけないのは辛い。そういうことを頭に入れながら、
スクリプトの進行条件を考えつつプレイする必要があるので、正直「やらされている感」が強い。
敵のAIも前作同様、かなりスクリプト的で、「パターンを知らなければやられるけど、知ってれば問題ない」
という印象で、個人的には、あまり好きなタイプのゲームではなかった。


が、逆に言えば、不満に感じるのがこの点くらいしかないのだ。
スノーモービルなどのビークルに乗るステージや、ステルスミッションが
合間に細かく挟まれるし、ミッションの内容も豊富なので、プレイがダレることはないし、
スクリプト的とはいえ、それに対する戦略を考えるのが面白いミッションもある。
加えて、冒頭でも触れた「グラフィック」「演出」「操作性」は超一流なので、
やはり非常に優れた作品であることは間違いない。



※スクリプト
台本。ここでは、「特定の位置までプレイヤーが到達する」など、条件を充たすことで
敵が現れたり、敵の動きが変化したり、状況が進行するシステムを指す。
その条件を充たさない限り、敵が無限に復活したり、ゲームが進行しない。
FF2400 さんのCOD4レビュー内説明がその弊害についてわかりやすいので引用させていただきます。

本来の攻略法は、敵を排除して味方の援護が来るまでで待つか、それか敵を倒して敵が一瞬だけいなくなったときに前進するというものである。前者は当たり前として、後者の敵を倒して一時的にいなくなったときに前進することは面白くない。このシチュエーションはわかりにくいと思うので軽く説明すると、敵が目の前の建物に立てこもっているとする。ここでプレイヤーは敵を倒すのだけれども延々と敵が補充される。どうやって敵が補充されるのを防ぐかといえば、敵がいなくなったころを見計らって敵がいる場所まで前進して敵のリスポーンを防ぐのである。普通のFPSの場合、敵を倒して敵がいなくなったころに落ち着いて進むというのが普通である。COD4は新しいシステムを提示している(まあこれはCOD2にもあったが)と言えば聞こえはいいが、実際はただの骨折りにかならない。人によっては敵の無限湧きに気づかずに延々と倒し続けるかもしれないってのに、だ。"


※今回はキャンペーンモード中心のレビュー(ハード、ベテランで2周クリア済み)です。
Special Opsとマルチプレイはやりこんでから書きます。

9.0 グラフィック
60fpsとしては驚異的なグラフィック。前作よりも広く、オブジェクト数も増したマップは、さらなる臨場感を与えてくれる。
9.0 サウンド
銃器類の音は前作よりも迫力が増した印象。BGMも効果的。
9.0
操作性・快適さ
相変わらずの素晴らしい操作性。ロードはミッションの合間にしか入らないが、前作よりも短くなっている。
8.5 ボリューム
キャンペーンモードは6~7時間程度と長くはないが、中身は濃い。新モードSpecial Opsや、マルチプレイモードで相当長く遊べる。
8.5 総合
前作COD4:MWの正統進化といえる作品になっている。

似非ログ