(1)エスクロウとは

エスクロウとは、もともと、巻物を意味する古代フランス語「escroue」が語源となっている。イギリスでは権利譲渡証書の意味に用いられたこの言葉が、アメリカでは独特の制度を表すものとして変化していった。すなわち、譲渡証書等の書類そのものから、第三者への関係書類・代金等の寄託という行為を意味するようになり、双務契約で相互に給付を交換することを保証するための制度として定着していった。

ちなみに、カリフォルニア州民法および同州金融法により、エスクロウについて全米ではじめて次のように成文化されている。

*カリフォルニア州民法第1057条
「ある一定の条件が成立した場合にはじめて相手方に渡すという合意のもとに第三者に引き渡される証書をエスクロウという。」

*カリフォルニア州金融法第17003条
「不動産、動産を問わず、売買、移転、抵当設定又は賃貸の目的で、契約書、金銭、権利証、その他関係書類を第三者に寄託し、ある一定の条件成就後、その第三者をして、寄託した金銭又は証書類等を取引の相手方に引き渡す一連の行為をエスクロウという。」

つづく