高齢者の孤立防ぐ講座や集い

住民同士顔つなぐ【マンション快適ライフ】

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 マンション生活を考えるうえで、高齢化対策は大きな課題だ。住民同士で支え合う仕組み作りや、設備の充実をどう進めるか。今月は、老後の生活の場としてのマンションを考える。

 神奈川県伊勢原市の「東高森団地」(22棟、約600戸)は築30年以上たつマンションだ。当初からの入居者は3分の1を占め、70歳以上が約170人にのぼる。

 住民の高齢化も進む中、マンションで孤立する高齢者を減らそうと、民生委員らが中心となって、2000年、ボランティア団体「わかばの会」が発足した。ボランティアは住民の主婦約20人。

 毎月1回、お菓子や料理を作り、引きこもりがちな高齢者の住民に声をかけ、おしゃべりをしながら、工作やゲームなどを楽しんでいる。参加者は毎回ボランティアを含め、約40人。会長の宮川佐代子さん(67)は「年をとると、どうしても外出もおっくうになり、ご近所との付き合いも少なくなりがち。こうした機会にお互いの健康や近況を話しています」と説明する。

 活動は、マンションの集会室で行っており、高齢の住民も参加しやすい。また、管理組合も、同会の集会室の利用料や光熱費などは無料にしている。

 ただ、ボランティアは全員60歳以上。「子育てなどの手が離れた若い人にも参加してもらえるようにしていきたい」と言う。

 マンションでいかに安心して老後を過ごすかは、住民にとって切実な問題だ。

 NPO法人日本住宅管理組合協議会(NPO日住協)が06年10月、「高齢化対策アンケート」の結果をまとめた。日住協の会員管理組合の中で、築年数20年以上経過したマンション住民が対象で、約50の管理組合の約2700人が回答した。

 それによると、65歳以上の高齢者の8割が単身か2人世帯だった。住民が高齢化する中、重視する対策として「居住者の相互理解と管理組合の結束」が約40%と最も多く、「医療機関との連携」(約20%)、「行政への働きかけ」(15%前後)を大きく上回っていた。

 実際、全国各地のマンションで住民同士の相互理解を深める取り組みは始まっている。埼玉県越谷市の「越谷ファミリータウン」では、60歳以上の住民で「シルバークラブ」を作り、健康講座や親睦(しんぼく)会を開き、活動報告をインターネットのホームページで配信している。

 そのほか、住民有志が高齢者の単身世帯を回って、世間話をしながら安否を確認しているマンションや、階段の上り下りが大変な高齢者に代わり、住民が買い物をすることを計画している所もある。

 ただ、いずれも元気な高齢者が、生活に不安を覚える高齢者を支える形が多く、世代を超えた支え合いが重要になってくる。


2007/01 読売新聞引用