神戸市の旧基準マンション 耐震助成適用第1号に

2006年12月25日 朝日新聞引用

 81年5月以前の旧耐震基準で建てられ、現行の基準を満たしていない神戸市の民間分譲マンション1棟が、阪神大震災を教訓に兵庫県と同市が設けた助成制度の適用第1号として、耐震改修工事に入ったことがわかった。古い共同住宅の耐震化は、工事費用や工事中の一時転居の負担が生じるため入居者間の合意ができにくく、震災で大きな被害を受けた同県内でも助成の申請さえなかった。同市は「全国的にも珍しく、画期的な例になる」としている。

 耐震化工事をしているのは、約30年前に建てられた同市中央区二宮町1丁目の「三宮東ハイツ」(14階建て、100戸)。95年の震災では大きな被害は出なかったが、その後に住民らが耐震診断を受けたところ、「今後起こりうる大地震で倒壊する危険性が残っている」と判定された。

 建物の構造上、工事は共用部分の補修だけで済むため、住民同士の話し合いが比較的円滑に進んだという。

 兵庫県は03年度、旧耐震基準で建てられた共同住宅などの耐震化への助成制度を創設。神戸市も今年1月、県に上乗せして助成する制度を始め、県と同市を合わせると工費の2分の1に補助が出るようになった。

 三宮東ハイツの耐震化の総工費は約2千万円。このうち県と同市が約500万円ずつを助成し、住民の負担は1戸当たり約10万円となる見込み。工事は11月に始まり、1階と4階で柱と柱の間を鉄筋入りのコンクリートで埋める「耐震壁化」などをし、来年2月に終わる予定だ。