減税一色、07年度税制改正 企業・富裕層には手厚く

2006年12月15日 朝日新聞引用

 減税一色となった07年度税制改正。なかでも手厚い減税の対象になったのが企業、それと富裕層だ。証券優遇税制の1年延長は株式投資による利益が多い富裕層ほど恩恵が大きい。比較的幅広い層に関係するのは住宅関連優遇策だけで、それも小規模なものだった。



■証券優遇税制

 上場株式の売却益と配当に対する課税は本来は税率20%。それを03年から半分の10%とする措置をとってきた。07年末~08年3月末に期限切れを迎えるはずだったが、売却益は08年末まで、配当は09年3月末まで優遇税率が適用される。

 証券業界から「廃止が株式市場に影響を与えかねない」と強い存続要求が出ていた。一方で「金持ち優遇」との批判も強く、廃止するかどうかが今回の税制改正で大きな焦点になっていた。

 導入を決めた02年末には日経平均株価が9000円を割り込む安値だったが、現在は1万7千円近くまで回復しており、「非常時対策」という意味での存続理由はなくなっていた。

 だが結局、1年延長になった。来年の参院選まで株価の下落要因を作りたくないという与党側の思惑が背景にある。今回の延長措置の終了後についても、新たな優遇措置を検討するという。


 ■減価償却の見直し

 減価償却制度は生産設備や建物の価値が年々目減りする分を経費として損金算入できる制度。企業にとっては、減価償却費が増えると課税所得が減り、減税になる効果がある。

 これまでは古くなった設備でも一定の価値が残っているとみなして、償却の限度額は取得価格の95%までだった。しかし、先進各国では100%までの償却が認められているとして、07年度以降は全額損金算入が認められることになった。

 液晶やプラズマディスプレーなど3種類のハイテク設備については従来8~10年だった償却期間を5年に短縮する。企業にとっては毎年損金算入できる額が増えて減税効果があり、設備の更新を早められる効果もある。

 一方、外航海運業界が求めていた船舶の特別償却制度の延長は認められたものの、業界への課税方式変更による大幅減税の検討は来年に先送りされた。


 ■住宅関連税制

 個人にとって関心が高いのは住宅関連税制だ。今回新たに導入されるのは、高齢者などがいる世帯がローンを組んでバリアフリー改修する際の減税措置。毎年末のローン残高(200万円が上限)の2%に当たる額を5年間、所得税額から差し引く。5年で計20万円の所得税額控除を受けることも可能だ。

 住宅ローン減税については、国から地方への税源移譲の影響で、中低所得者の中に減税額が小さくなってしまう人を救済する制度も設ける。07年と08年の住宅取得者を対象に、現在は「取得後10年間」となっている減税期間のほかに、毎年の減税額を減らすかわりに期間を15年に延長する制度を設け、選択できるようにする。10年でも15年でも最高減税額は変わらないが、所得税が少ない人ほど減税の目減り分が穴埋めされる効果がある。