●年収が400万円台までなら、所得税は減税になる?
平成19年から、所得税の課税税率が変わります。今年までは10%だった最低税率が、平成19年からは5%に引き下げられます。課税税率が5%になるのは、課税所得で195万円まで。195万円を超える部分には10~40%が適用されますが、下限の税率が10%から5%に下がるため、たとえば妻と子どもを扶養している会社員家庭では、400万円から500万円近い年収でも、所得税が安くなるケースが出てくるでしょう。
ただ一方で平成19年の分から、住民税は下限が10%に引き上げられます。現在の住民税の下限の税率は5%ですが、平成19年分からは、収入の多い人も少ない人も、一律で10%が適用されます。そのため所得税で減税になっても、住民税で増税になる可能性もあるわけで、来年からは実質増税なんだか減税なんだか、迷ってしまうご家庭が増える気がしています。
●年収が低いと医療費控除還付金が減る
税制改正について、生活に与える影響という視点で考えてみると、年収の少ない家庭で医療費控除や住宅ローン控除を受ける場合は、還付金額が減ることになりそう。今まで最低税率が10%だったので、医療費控除額が10万円と計算された場合、その10%にあたる1万円(定率減税は考慮しない)が還付されていました。ところが、適用される税率が5%のご家庭では、10万円の5%に当たる5千円しか戻ってこないことになるからです。
住宅ローン控除でも、似たようなことが起こるはず。たとえば、今まで15万円の還付を受ていたご家庭の場合、翌年の計算上では、14万円の還付を受けられると算出されたとしても、収めている所得税が減っているので、14万円は戻って来ないケースが多いと思われます。そのいっぽうで、住民税には住宅ローン控除の制度がないので、住民税が増えているご家庭であっても、住宅ローン控除を利用して住民税を減らすことはできません。
ちなみに、住宅ローン控除と医療費控除の両方が使える場合は、住宅ローン控除を申告することで所得税を全部取り戻せるとしても、医療費控除の申告は必ず行いましょう。所得税で医療費控除を申告しておかないと、住民税で医療費控除を受けて、税額を下げられないからです。
●子育て支援の「税額控除」は導入されるか?
個人的に気になっているのは、子どもを扶養している人に対する「税額控除」が、導入されるのかということ。現在の子育て減税は、扶養控除や特定扶養控除といって、医療費控除などと同じように「所得控除」に含められるものです。これを、住宅ローン控除と同じ「税額控除」に改正したらどうかという案が、出ているのです。
税額控除が実現したら、今よりも手厚い子育て減税が受けられることになり、それは所得税をたくさん納めている人のほうが有利になりそう。逆に、所得税の最低税率が引き下げられることによって、収める所得税が減っているご家庭には、切り捨てになってしまう税金が増えるだけかもしれません。とはいうものの、税額控除が導入されるのかはまだ決まっていませんし、減税効果の大きいご家庭と、減税効果の少ないご家庭の境い目がどのくらいの年収になるのかも、気になるところ。
いずれにしても税制改正というと、定率減税の廃止などに目が向きやすくなりますが、来年は手取り収入に影響を与える所得税と住民税の税率構造が変わることは、知っておく必要があります。実際にどのくらい税額が変わったのかは、所得税では1月、住民税は6月の給料明細書でチェックしてみることをおすすめします。