家計を支える働き手が病気で倒れてしまったら、その後、住宅ローンの返済はどうすればいいのか――。そんな利用者の不安に応えた「三大疾病保障付き住宅ローン」を始める銀行が相次いでいる。最近の住宅市場の活況と相まって、利用も増えているという。
このローンは、借り手ががんと診断されたり、心筋梗塞(こうそく)や脳卒中で2カ月以上働けない状態が続いたりした場合、ローンの残りの支払いを保険会社に肩代わりしてもらう。その代わり、金利は通常より0.3%幅程度、高い。
この商品が登場したのは04年春。仏系のカーディフ損害保険が関西の地銀と組んで始めた。
それまでも、がん保障付きの住宅ローンは取り扱っていた。がんと同様、日本人に多い心筋梗塞と脳卒中に広げることを思いついたという。
金融機関がこぞって力を入れる住宅ローン分野は金利引き下げ競争になりがちだ。住宅ローンにいかに付加価値をつけるかが金融機関の課題だった。
同時に、不慮の病気に不安を抱く利用者にとってもメリットがある。借り手が死亡した場合に支払い免除になる団体信用生命保険は普及しているものの、病気に備える仕組みは手薄だったからだ。
急速に広まったのは、メガバンクの一つ、三井住友銀行と提携・販売した昨年10月以降。同行が店頭やテレビCMで盛んに売り込んだ成果だ。
同行の融資実績は7月末までで約1900億円。販売開始から徐々に利用が増え、いまでは融資全体の15%ほどに。目標の2割までもう少しになっている。
同行個人部門ローン事業部の松山恵介・事業開発グループ長は「このローンがあるからうちで借りてくれるというお客さんもいる。奥さんが勧めるケースが多いようです」と話す。
三井住友の「成功」を受け、ほかの大手行も保険会社と提携し、同様のローンを取り扱うようになってきた。
三菱東京UFJ銀行は3月から、三大疾病に加え、糖尿病や高血圧など四つの生活習慣病を対象にした七大疾病保障付きの住宅ローンを販売。みずほ銀行やりそな銀行は7月から、三井住友と同様の三大疾病保障付き住宅ローンの取り扱いを始めた。三井住友は8月から、五つの生活習慣病も保障対象に加えた。
各行がしのぎを削る住宅ローン分野。金利競争はもちろん、利用者のニーズを探るアイデアはいろいろありそうだ。
|