マンションを買うということは、”住む環境を買うこと”。

私は、いつもこう言っていた。

 

でも、耐震偽装問題を考えてみると、

この考え方は”まだまだ甘い”と思うようになってきた。

 

マンションを買うこととは、”人生を掛ける”ことだと思うようになってきた。

下手をすると家族の人生を捨てることになりかねない。

 

私は、今まで本当にたくさんの購入者を見てきた。

ほとんどの人から、「ありがとうございました。」と言われ、終わっている。

 

以前にブログでも書いたが、自分の親が”土地詐欺”にあって(私が4歳位の頃)、だまされている。

庭に黒いビニールがかぶせられ、材木がたくさん置いてあったことを今でもはっきり覚えている。

このことは、(親父から聞いて)中学時代に知った。

 

耐震偽装問題や自分の親のことを考えると、

なおさら、お客様にいろんなことをアドバイスできる場をいろんな形で提供していかなければならないと痛切に感じている。

 

どの世界にも悪いやつがいるのは、確かだ。


以下、読売新聞に出ていたことを抜粋し紹介します。

 

段ボール箱であふれかえる6畳間に、高校1年の長男(15)から小学5年の二女(10)までの3人の子どもと、妻(38)が雑魚寝する。

積み上げられた荷物が窓をふさぎ、朝を迎えても部屋は薄暗い。

東京都墨田区の会社員(44)の一家が、「ヒューザー」から昨夏に購入したばかりの「グランドステージ(GS)東向島」(36戸)を離れ、この部屋に越してきたのは偽装発覚1か月後の昨年暮れ。

150平方メートル・5LDKでの新生活は、68平方メートル・2LDKの暮らしへと一変した。

新居のために買いそろえた家具類の多くは、貸倉庫に預けたままだ。

35年の返済計画で組んだローンは7000万円。

区が示した建て替え案では、さらに3000万円以上必要になる。

趣味のゴルフをあきらめ、子どもたちの習い事もやめさせた。

二女は学校で「あの子の家、姉歯物件なんだよ」「壊れちゃうんじゃないの」という心ない陰口に耐えている。

・・・・・・・・。

「人生設計が、すっかり狂ってしまった」。

会社員はため息をつく。

 

・・・・・・。

   

「建て替えは金も時間もかかる。自分たちは生きて戻れないかもしれない」と不安を口にする年配者。

これに対し、「事件で有名になってしまった以上、補強しても建物の資産価値はない。建て替えたい」と若い世代の住民が反論する。

 

2時間以上の議論の末、33対3で「建て替え」が決まった。

 

ところが区の示した建て替え案に対し、賛否は真っ二つに分かれる。

区案では、居住面積は「現状の1割減」で、追加負担は「100平方メートルの場合、約1800万円」。

住民へのアンケートでは、自己負担できる金額は平均570万円にすぎない。

・・・・・・・・・。

少しでも負担を減らしたい――。住民や自治体は模索を続けている。


だが偽装物件の建て替え事業に、ゼネコンなどの民間会社は及び腰だ。

 

「GS東向島」は住民4人の「建築チーム」が、建て替えを行ってくれる建設会社を探している。だが14社に電話して、10社が門前払い。ようやく担当者が会ってくれた会社からも、色よい返事はない。

 

ある大手ゼネコンの幹部は「偽装物件の多くは規模が小さく、利益が薄い。

しかも、住民が追加ローンにどれだけ耐えられるか不透明な面もあって、手は出しにくい」と本音を語る。

 

再開発事業などに詳しい国土交通省幹部は「マンションの建て替えは、住民の主張がぶつかりあう場。

 

問題マンションでなくても、本来なら2~3年かかる大事業」と話す。

 

「それを1年余でやろうとしているのだから、難しい」


姉歯らキーマンの一斉逮捕で、事件は真相解明に向けて大きく前進した。

 

だが強度偽装に翻弄(ほんろう)され続ける住民らの不安が晴れることはない。

4月29日 読売新聞より)