
今年は例年に比べて台風が多く発生していて、しかも迷走しています。その原因について調べてみました。(画像は過去の読売新聞記事から転載)
今年台風が多く発生している主な原因は、活発なモンスーン活動による「風の渦(トリガー)」の多発と、エルニーニョ現象に伴う「過去最高の海面水温」という記録的な海面水温の上昇が重なったためです。
モンスーンジャイア(Monsoon Gyre、モンスーン渦)とは、夏の北西太平洋(日本の南海上など)に出現する、直径2,000kmを超える巨大な反時計回りの風の循環(低気圧性の渦)のことです。この現象は大量の熱帯低気圧や台風を同時に生み出す、いわば「台風の大量発生装置」としての性質を持っています。
インド洋や東南アジア方面から吹く「南西モンスーン(季節風)」と、太平洋高気圧の縁をまわる「東風(貿易風)」が日本の南海上付近でぶつかり合います。風が収束することで、東西に広がる巨大な低圧部(モンスーントラフ)ができます。この低圧部の中で大気が反時計回りにぐるぐると回転し始め、一つの巨大な「モンスーンジャイア」へと発達します。
巨大な渦の内部やその周辺では積乱雲が発達しやすく、複数の熱帯低気圧や台風が次々と、あるいは同時に発生します。モンスーンジャイアの環境下で生まれた台風は、発生初期から風の循環の規模(サイズ)が非常に大きくなりやすい特徴があります。
通常の台風は太平洋高気圧の縁に沿って動きますが、モンスーンジャイアが発生していると、台風がこの巨大な渦の進路誘導に引きずられます。その結果、通常とは逆向きに西へ進んだり、沖縄付近で急に「Uターン」や「逆走」するような複雑な動き(迷走)を見せることが多く、予報が難しくなります。
渦の東側にはアジアモンスーンからの湿った南風が大量に流れ込み続けるため、台風が通り過ぎた後も日本列島に非常に強い雨を降らせ続け、重大な豪雨災害を引き起こす引き金になります。8月〜9月は太平洋高気圧が弱まり、上空の偏西風が南下してきます。台風がこの偏西風に乗ると、一気にスピードを上げて日本列島へ直撃・縦断するリスクが高まります。すでに発生数は20個に迫るハイペースとなっており、今後の動向にも厳重な警戒が必要です。