幸せでありますように
彼女の結婚式。
確か5年位前に絶対泣くことはない・笑顔いっぱいで祝うと宣言したけれど、
その日がついにやってきた。
自分より前か後ろかとかは想像したことはなかったけれど、
想像を超えた展開であることは確かだった。
それでもそれも、彼女らしいのかもしれない。
シンプルな白いドレスがとてもきれい。
曇りのない笑顔がとても眩しい。
彼女のことを思い描く。
初めて出逢ったときのこと。
大学サークルの新歓合宿。
インカレのサークルに1人で入った私は飲み会の盛り上がりになじめずにいた。
元来の人見知り&面倒くさがり屋な性格により
友達作りを放棄しかけていた私に 話しかけてくれた二回生の彼女。
「○○さんと呼ばずに ちゃんづけで呼んでいいよ」と言われ
すぐに「ちゃん」づけで呼び始めた。
それから、彼女がメイン企画だったイベントの手伝いをしたこと。
このイベントで、大学4年間・そして今日に至るまでの私のニックネームが誕生した(彼女の命名)。
サークル帰りに大戸屋へ行き、夜遅くなのにチキンかあさん煮定食を頬張っていた姿とか
リクエストされると、びっくりするほどの・思いきった変顔を披露してしまう姿とか。
人気者であるが故に 妬みとまではいかないけど やきもちをやかれて
あることないこと言われ、大変なのは彼女のほうなのに
「私も悪いんだよね」と申し訳なさそうな、淋しそうな表情をしていたこととか。。
彼女が卒業し、私がプチ留学した頃からは 会う機会はぐっと減っていったけど、
共有した喜怒哀楽の感情は、数え切れないほどだ。
彼女が、仕事や恋愛のことで、言葉少なになってしまったとき。
私が、ストレスで皮膚炎になったり激太りしたとき。
前菜にパスタ、ピザ。そしてボトル1本の赤ワイン。
久しぶりに会っては、驚くほどの量の食事とともに、互いの感情を消化していった。
嬉しかったこと、悲しかったこと。
ありたい姿。許せないこと。
理由がわからないこと。
どうしようもないこと。
信じていること。
信じられないこと。
信じたいこと。
いろんな人がいて、いろんな価値観がある。
それを知っていて、受け入れる、そういうことが私たちの得意技だった。
あるときは彼女を鏡のように感じ、また逆の存在と感じたこともあった。
抜けきれないサガがあり、それを飲み込もうとする意志もあった
大学卒業時に、そして結婚式のメッセージで
「姉妹のよう」「これからも」と書いてくれた彼女。
確かに友人というより、姉妹に近いのかもしれない。
「何度かもらっているのは知っているけど、でもあげたい」
そう言って ブーケを手渡してくれた彼女。
ブーケを受け取ると自然に、笑みがこぼれた。
よし、私ももう一歩進まなければと思った。(結婚だとかそんな意味ではなく、自分の人生という意味で)
「絶対泣くことはない・笑顔いっぱいで祝う」と5年も前に宣言していた自分が、
今日そんなふうに感じる自分を予感していたのだろうか。
彼女の結婚。
私にとっては同時に、20代との決別を意識し始めた瞬間のようであり
ただ単純に友人が結婚して嬉しいとか喜ばしいとか
そういったものを超えた節目の日に感じた。
私たちは、まだ相対的には若いかもしれない。
あるいは、相対的に若くないかもしれない。
ただ、あの頃見えなかったものの一部分が見えるようになり、また依然として一部分は見えず、
そして大半はあの頃何を見ようとしていたのかさえ忘れてしまった、永遠に見失った何かになった。
そして今は、また新しい別の何かを見ようと、懸命に瞳をこらしている。
新たな一歩を踏み出していこう。
大袈裟な表現だけど、そう思う。