なずなは考えていた。
京平は人気があるらしい。
持てる彼氏というのも良いものだとは思うけど、恋心を感じない自分もいる。


だからと言って、友達もいるから独身で良いなんて思えない。これからのことに悩んでいた。


「なずなさん、缶コーヒーです。」


上の空でいると、力に差し出された。


「ありがとう。貰った物にケチをつける訳ではないけど、お茶を入れてくれたのであれば、張り倒していたかも。
女性がいる会社では男性にお茶を入れてほしくない気持ちもある。
これは女性の沽券にも関わるから。」


「僕を価値ある男性として認めてくれるのはなずなさん位です。
皆んな今は京平さんに浮き足立っていますから。
でも僕から見ても、素敵な男性だとは思いますけど。」


数日後、なずなは馴染みの小料理屋に知津と来ていた。
女将は丸と呼んでほしいというだけにて、顔が丸いからなのか、丸いものが好きだからなのか何なのか、本当の名前は分からなかった。



「潮時ねぇ。男性の潮時という言葉にどの様な意味があるのだろうねぇ。
仕事なのか恋なのか。私には分からないなぁ。」


丸はその様に言った。


「恋多き丸さんでも分からないのであれば、私にも分からないか。」


「彼女がいて、結婚を迫られているとか。潮時なんて、余程のことがないと引けないという思うけど。」


知津はその様に言った。


「京平が結婚してしまったら寂しいかも。」


飲んでいると、隣で飲んでいた会社員らしき男性に声を掛けられた。


「一緒に飲まないか?美味しいお酒を分けてあげよう。」


「カラオケでデュェットしようなんていわないから。この様な誘い方も古いだろうか?」


なずなと知津はお酒に釣られて、飲むことにした。


続く