何かきっかけがあったわけではない。

むしろ、特に変化もない毎日。

私はレス夫に告白することにした。

彼氏のことを。

バレてもいなかったけど、
言いたくなった。

これでレス夫が
キレても痛くも痒くもない。

離婚も考えてる側にとっては、
不利になることもわかっている。

けど、話すことにした。

レス夫が仕事から帰宅し
夕食を済ませたところで突然、
「私、相手いるんだよね」

「え?」

「彼氏がいるの」

「何歳?」

と、驚くでも怒るでもなく、
むしろ彼氏のことに興味がある
レス夫はいろいろ聞いてきた。

まともに応える必要はないと思い、
適当に返答。

「あなたと同じ歳」

「何してる人?」

「普通のサラリーマン」

「いつ会ってるの?」

「…」

「出張のとき?」

「…」

「うちに来たことあるの?」

「ないよ」

「どこで知り合ったの?」

「出会い系サイト」

そのあともいろいろ聞いてきたけど、
適当にあしらった後、
いつものように
自分の部屋に籠るレス夫。

少し時間が経てば、
レス夫の気持ちに変化あるかなぁ、
 
怒りとかやるせなさとか、悲しさとか…

口では言ってたけどまさかホントに
行動するなんてって言ってきたり…

でもスワッピングに
興味あるぐらいだしなぁ…

あ、ヤケになって、腹いせで
アダルト動画を大量に
買ってたりするかも…
(レス夫はいつでも買えるように
サイトにクレカ登録済み(笑))

逆に冷静になって、
真剣な話が始まる?

と私も自分の部屋(兼寝室)で
あれこれ考えていたところ、
1時間程してレス夫が
私の部屋をノックしてきた。

返事をすると、
顔を真っ赤にしたレス夫が入ってきた。

「ねぇねぇ、どこで知り合ったの?」

と入ってくるなり
テカテカした真っ赤な顔を
ニヤつかせながら
私にまとわりついてきた。

そう、顔を真っ赤にしていたのは、
怒りからではない。

ただ単に
アダルトサイトで興奮してたから
テカテカ&真っ赤な顔をしてただけ。

その時点で恐怖にも似た
ゾッとする感じがあった。

まるで獲物を狙って離さない獣。

以前、自宅に手紙を投函されたり、
しつこいメールを送ってくるストーカーに
つきまとわれたことがあったが、

その感じに近い…
と思ってしまった私。

私に近づき、
たこの吸盤のように

真っ赤にした顔をニヤつかせながら
全身にまとわりつき、

剥いでも剥いでもつっついてくる
レス夫の手と足。

ほどく作業に必死な私。

我が夫ながら気色悪い。

その間もレス夫は
「ねぇねぇ、
ホントに出会い系で知り合ったの~?」

「どんなことしてるの~?」

「いつ会ってるの~?」

「いいなぁ、(私)っちばっかり
そうやって成立して」

「どうやればそうやって成り立つの?」

と、好奇心剥き出し。

剥いでも剥いでもなお、
つきまとってくる
あまりの体と言葉のしつこさに
だんだん笑えてきた私は、
その後、笑いがとまらなくなる。

と言うか…
私に対して嫉妬どころか、

レス夫が私の行動に敬意に似た
感覚で必死にその技を聞き出そうと
している姿がおかしくてならなかった。

そもそも策や技なんてないし!

てゆーか、
仮にも、妻に対する通常の
夫の行動&心情じゃないだろー!

理由も聞いてこないレス夫。

「俺なんか出会い系に登録しても
サクラかどうか見分けできる程に
なっちゃって…かわいそう」

そんなことをボヤいたレス夫に、
そりゃそうだろ、とまた笑えてきた。

ほとほと笑い疲れた私は
「あなたには無理よ」とだけ一言言い、

他は何も返答することなく、
レス夫はその後も「いいなぁ~」と
ぶつぶつ言い続け、

その後も何事もなかったかのような
日常をその後も送る。

レス夫はアダルト動画を
大量に買ってなかった。

一番心配していたことを
免れ、安心する私。

あり得ないでしょ、このやりとり。
と思う私とは裏腹に、
レス夫の異常さが浮き彫りになった一件。