『仏大統領選 マクロン氏が勝利、「分断との闘い」を表明
CNN.co.jp
日付:2017-05-08
パリ(CNN) フランス大統領選は7日に決選投票が実施され、親欧州連合(EU)派の中道系独立候補、エマニュエル・マクロン前経済省(39)が右翼・国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン氏を破って当選を決めた。
仏内務省が7日夜に発表したところによると、投票率98.12%の時点でマクロン氏の得票率は65.5%と、ルペン氏の34.5%を大幅に上回った。
第1回投票で既存の2大政党を拒否した有権者は、反EUを掲げたルペン氏にも「ノン」を突きつけ、選挙経験のない独立候補のマクロン氏を選んだ。
マクロン氏は陣営本部からの演説で「我が国の分断が有権者を過激主義への投票に駆り立てた」「多くの皆さんが示した怒りや不安、疑念に耳を傾けるのは私の責任だ」と述べて、「分断との闘い」を表明。「我々の歴史は今夜、新たなページがめくられた。それが希望のページであることを願っている」と語った。
また同日夜には、パリのルーブル美術館前で数千人の支持者らを前に演説。EUの歌に指定されているベートーベンの「歓喜の歌」とともに登場し、国民の和解を改めて呼び掛けた。ルペン氏に言及して聴衆からブーイングが出るとこれを制し、「過激主義に票を入れる理由は全くないと確信できるよう全力を尽くす」と強調した。
ルペン氏は出口調査の結果を受けて敗北を認め、支持者らの前で「仏国民は新たな大統領を選んだ」と宣言。マクロン氏に祝意を伝えたことを報告した。
オランド大統領もマクロン氏に電話をかけ、勝利を「温かく」祝ったことを明らかにした。
欧州委員会のユンケル委員長、EUのトゥスク大統領や、メイ英首相、メルケル独首相も相次いでマクロン氏の勝利を祝う声明を出した。』
仏内務省が7日夜に発表したところによると、投票率98.12%の時点でマクロン氏の得票率は65.5%と、ルペン氏の34.5%を大幅に上回った。
第1回投票で既存の2大政党を拒否した有権者は、反EUを掲げたルペン氏にも「ノン」を突きつけ、選挙経験のない独立候補のマクロン氏を選んだ。
マクロン氏は陣営本部からの演説で「我が国の分断が有権者を過激主義への投票に駆り立てた」「多くの皆さんが示した怒りや不安、疑念に耳を傾けるのは私の責任だ」と述べて、「分断との闘い」を表明。「我々の歴史は今夜、新たなページがめくられた。それが希望のページであることを願っている」と語った。
また同日夜には、パリのルーブル美術館前で数千人の支持者らを前に演説。EUの歌に指定されているベートーベンの「歓喜の歌」とともに登場し、国民の和解を改めて呼び掛けた。ルペン氏に言及して聴衆からブーイングが出るとこれを制し、「過激主義に票を入れる理由は全くないと確信できるよう全力を尽くす」と強調した。
ルペン氏は出口調査の結果を受けて敗北を認め、支持者らの前で「仏国民は新たな大統領を選んだ」と宣言。マクロン氏に祝意を伝えたことを報告した。
オランド大統領もマクロン氏に電話をかけ、勝利を「温かく」祝ったことを明らかにした。
欧州委員会のユンケル委員長、EUのトゥスク大統領や、メイ英首相、メルケル独首相も相次いでマクロン氏の勝利を祝う声明を出した。』
今回のフランス大統領選挙は、中道系独立候補のマクロン氏が、国民戦線のルペンを破り、当選を確実にしました。
「ペストを選ぶかコレラを選ぶか」
フランスの国民の中にはこんなコメントさえも見受けられた今回のフランス大統領選挙……。確か、フランスのシャルリエブド誌がそういう風刺をしていたような気がします。
予てより、EUからの離脱を掲げていたルペン氏は当選せず、ルペン氏に対抗するべく、EU協調路線を掲げていたマクロン氏が当選するという結果となりました。
私は政治を深く論評するほどの知識はありませんが、恐らくマクロン氏の当選は、経済状況の良くない-特に10%超えという若年失業率の高さに悩まされたフランスの経済を立て直すことはできないでしょう。
彼の政策は、典型的な「新自由主義・新グローバリズム・緊縮財政」路線です。フランスの現在の大統領であるオランド大統領も典型的な構造改革主義者であり、彼によってフランスの悲惨な現状が変わることはないでしょう。
今のフランス経済を本当に立て直そうと思えば、ルペン氏がいうように、積極的な金融緩和と財政出動を行う必要があるのは明白です。しかし、フランスが財政赤字拡大嫌いのEUという枠組みの中に属する限り、これは不可能でしょう。
近年、「EUはケインズ主義的な財政政策を取ることを制度化すべきだ」との声が高まっています。
EUが積極的な財政政策を拒むのには、極度に財政赤字を嫌うドイツがEU経済圏を完全に牛耳っているという実情が背景にあります。
大規模金融緩和と財政出動を実現して経済を立て直したければ、EUからもユーロからも脱退し、フランスのかつての独自通貨フランを復活させる必要があると私は考えています。
最も、今のフランスの世論の現状を見る限りでは、EUから離脱するという考えは、増えてきているとは言え、多くの人から合意が得られるものではないというです。特にパリなどの都市部を中心に、EU離脱に賛同しない人々で多数を占めています。(逆に、農村部では、寧ろEU離脱を掲げるルペン氏の方が支持率は高かったのですが…)
何より、今回のフランス大統領選挙で分かったことは、「極右」のレッテル貼をされたルペンは、多くのフランス国民にとっては、嘗ての「ナチス」を連想させるものだという現状でした。未だにフランス人の間では、「ナチスアレルギー」が相当強いということです。
とにかく、現状で言えることは、マクロン氏には分断されたフランスの世論を修復させることはできないということです。マクロン氏が大統領に就任しても、彼の政策路線では、いずれルペン氏待望論、ひいてはEU離脱を求める声がますます高まり、フランス国民の分断が一層進んでいくことになりかねません
「新グローバリズムか反グローバリズムか」
フランスは、依然として重大な帰路に立たされ続けることでしょう。