日露戦争での乃木希典の戦略・戦術については、あまり語りたくありません。

 

 

というのも私自身が軍事には素人でして、旅順攻防戦に関しては、ほぼ『坂の上の雲』の受け売りでしかなく、巷間言われるような乃木が無能な将軍だったのかどうかは判断がつかないからです。

 

 

ま、この件はどうでもいいことだとも言えます。歴史学上、大事なのは日露交渉を決裂させてしまったことであって、その背景としての日本の外交戦略をこそ問題にしなければならないからです。

 

 

そんなんでちょっと書きあぐねていたところ、大変面白い動画を発見したので、紹介しておきますね。乃木希典の肉声ですよ!

 

 

こんなのが残っていたとは知りませんでした。1910年(明治43年)ですから乃木殉死の2年前ですね。偕行社(かいこうしゃ)という陸軍将校の親睦団体が収録したものです。表題にありますように「私は乃木希典であります」だけなんですけれど、貴重な音声です。

 

 

 

 

・・・・彼の声は、私の持っていたイメージとは全く異なっていました。私の乃木イメージは、映画『明治天皇と日露大戦争』(1957)で乃木を演じた林寛のものだったのです。

 

 

林寛の乃木希典

 

 

同映画での林寛の乃木の口調は、落ち着きのあるゆったりとしたものでした。私は当然の如く、実際の乃木の話し方もそうだったんだろうと思っていました。

 

 

ところがこの録音はどうでしょう。高音の早口で、何かに急かされているような感じがするではありませんか。

 

 

いやいやながら収録されたものではないんですよ。乃木自身が「それはおもしろい」と言っていたそうですから。

 

 

こんな短い言葉だけでは分からないかも知れませんけれど、何か、乃木の人となりに得心が行ったような気がしました。