先日上方落語を聴く機会に恵まれ、楽しんできました。
最後の演目は寝床。長屋の旦那さんが素人なのに下手な義太夫を語りたがる。そして店子が往生する、という楽しいお話しです。
これを聴いて、思ったことがありました。
子どもに読み聞かせをするときに、注意したほうがよい点について。
自分のお子さんに「悪書」を与えて喜んだりする人はいらっしゃらないでしょうから、ご家庭でのことではありません。
小学校や子育て支援センターなどで、いろいろなお子さんに読み聞かせをする場合のお話しです。
自分がとっても感動したお話。
自分の子どもが大好きなお話。
それをみなさんにおすそ分けしたい気持ちは大切なもの。図書読み聞かせのボランティアなどの原点となる部分ですね。
ですが。
いろいろな子どもさんへの読み聞かせは、ご家庭でのものとは違う注意点があります。
ちょうど、カラオケでマイクが回ってきたときにその場に合った歌を選曲して、自分が一番好きなアーティストの好きな歌だから披露するとは限らないのと同じです。
せっかくあなたの個性が持ち味となる読み聞かせの機会があるのなら。
それを「素人義太夫」にしないためのちょっとした知識です。
本を愛し、子どもを愛する方にこそぜひ耳を傾けていただきたいと思っています。
素人だもん、別に素人義太夫だって結構!
なんて、まさかおっしゃる人はいないはずです。
でも、この「寝床」、古典落語が今でも私たちの笑いを誘うのは、それが現代にもあることだからこそ。
人間の本質を突いたものは、軽々と時代を超えるのですね。