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BIRDS EYE LOHAS Project

ロハスなコミュニティ誌「BIRDS EYE」を発行しながら、
ロハス志向の人たちとつながって「ロハスコミュニティ」づくりを目指しています。

100年に一度といわれる世界同時不況の大津波が、いよいよ実体経済を直撃しはじめた。

この危機を脱出するための智慧はないものだろうか。


巷の本屋さんに行くと、「世界大恐慌」とか「世界金融危機」「資本主義大崩壊」などと言った不安を煽るような本がずらりと並んでいる。

そんな中で、1冊の本に目が留まった。「200万都市が有機野菜で自給できるわけ―都市農業大国キューバ・リポート」吉田太郎著(築地書館)

これは東京都農林水産部の職員の吉田太郎さんが現地で見聞したリポートである。


その内容の概要をここで紹介したい。

キューバは以前、ソ連や東欧の国々に至りつくせりの依存した経済構造をもっていた。
ところが、1990年初頭、社会主義がロシア、ソビエト先頭に崩壊。今までキューバの経済を守ってくれていた社会主義が崩壊してしまった。(日本のアメリカ依存に似ている)
そしてそこに追い討ちをかけて、すざましいアメリカの経済封鎖。輸入物資の8割を失うという窮状に直面し、食料品はもちろんのこと、医薬品も石油も入ってこなくなった。
トラックも動かない。トラクターもない。医薬品もないという大変な困難に直面した。


そのとき国民はどうしただろうか。

生きるために国民が一丸となっていったのだ。


サラリーマンもお役人も学校の先生もお医者さんも、とにかく自分と家族が食べる食料を生産するために、身の回りの空き地を耕しはじめた。空き地や住宅の隙間、ビルの屋上まで、中にはコンクリートを剥がしてまで田畑にし、空き缶まで利用して食べるための野菜を作った。みんな農作業をしてから出勤した。そんな光景が当たり前のように行われるようになっていったという。
突然襲った危機をバネに、キューバは急激に自給自足・地産地消に変わるしかなかった。仕方なくそうなったという。化学肥料も農薬も無い。石油もない。だから有機野菜をつくるしか手がなかった。


この本の中で「キューバで体験したことは、やがて日本や世界の都市が経験することになるだろう」と著者は書いている。


キューバは、日本と同じように食料自給率は40%だったが、国民の力で、わずか10年で自給率を70%まで押し上げた。そしてもっとも興味深いのは、農業を突破口に、医療や環境、教育にごく自然に取り組みが広がっていったところだ。例えば、車に代わる自転車や伝統医療(代替医療)の復活など大胆な方向転換が図られた。それは、欠乏をテコに、政府も国民も発想を転換したからできていった。石油も農薬も使わえない、お金もない中で、安全な食べ物、きれいな空気や水、格差のない社会をがつくられていった。


有機農業、自転車、風車、太陽電池、代替医療有、環境教育………
ソ連圏の崩壊とアメリカの経済封鎖で、食料、石油、医薬品が途絶える中で、キューバの人たちが選択したのは、環境と調和した持続可能な社会への変身だったといえる。
日本の不況を上回る未曾有の経済崩壊の中で、エネルギー・環境・食料・教育・医療問題を、彼らはどう解決していったのか、私たちは学ばなければならない。


貧しくとも陽気に、助け合いながら、国家存亡の危機に真正面から挑戦していった人々の歩みから見えてきたのは、「自給する都市」というもう一つの未来図である。キューバから見えてくるこの未来図は、21世紀の持続可能な社会を、世界でいち早く体現したモデルである、と言える。こうしてみると、国家の危機をキューバの指導者カストロも国民も、国が再生するチャンスにしたことがわかる。


キューバといえば、「1960年代にミサイル危機が起きた大変な国」「カストロ政権の社会主義国家」というイメージしか抱いていないが、この本を読むとそれが一変する。

現在、日本の食料自給率は40%(穀物自給率になると28%)エネルギー10%未満。日本とキューバは政治経済の諸条件が違うとはいえ、これからの農業や持続可能な社会を考える上でのヒントは多いい。


キューバの財政破綻と飢餓という危機には、まだ日本は直面していないが、やがてそういった事態が起きる前に、これまでの発想を変えなくてはならない。今、政府は経済景気対策にやっきになっているが、自給率40%という数字に手が打たれていないのが実情だ。日本には60万ヘクタールのも及ぶ不耕作地があるというのに、資源がない、資源がないから輸出しかない、という発想に縛られてきた。


今の日本にある資源(人材・技術の含めて)を使って、どうしたら持続可能な社会を創ってゆけるか、政府も国民も一丸となって考えてゆくのが、キューバの教訓ではないだろうか。キューバは、こどもの教育も無料、医療も薬だけはお金が要るが診察は無料でやっている。経済が豊でないと出来ない、景気が良くならないと何もできない、という発想は、どうやら違うらしい。日本人の発想そのものを転換してゆくことが迫られているのだ


そのヒントは、日本の江戸時代にあるということをどこかで読んだことがある。そのあたりを調べてみたい。