【ぼくにオススメの本、何かないですか?】 | 日本一熱い書店営業・桜井栄一が語る『ベストセラーはこうやって作る!』

日本一熱い書店営業・桜井栄一が語る『ベストセラーはこうやって作る!』

革靴を2週間で履き潰すほど日本一熱いと自他共に認める書店営業マン!
20年以上の実績。編集者には語ることができない「売れる本」「書店が欲しがる本」から、
プロデューサー視点から斬り込む「売れる著者」「ファンができる著者」まで赤裸々に語ります。

 

水戸で営業中、雑談の流れで書店員に聞かれて
推薦した本が【小説 上杉鷹山】。
水戸光圀公には悪いですがw

以前、「本とわたし」と題して8冊くらい、
紹介を兼ねて投稿させていただいたことがあり、
今日真面目に体調が優れずシンドイので、
大半はコピペにてw
 

 


↓

誰と出会うか。
何を信念とし、価値とし、実行するか。

人の偉さはここに帰着するようだ。

大学二年の春。
突然、僕の前に現れた一つ上の先輩。

情熱の塊のような人だった。
聞いたこともないような話を次々にしてくれた。
何を聞いても明快だった。
正直圧倒された。
一歳しか違わないのに何だこの人は!
と驚いた。

自分の人生を180度変えた日のはじまりだった。

彼は聞いた。

「変わりたい?強くなりたい?」

「はい」と応えた。

それから三ヶ月間、
彼に刺激を受けた僕はひたすら本を読んだし、
毎日のように人に会った。

先輩の後ろについてたくさんの人に会い、
話を聞いた。
時には深い悩みを抱えた人もいた。
真剣に激励する先輩の姿に凄さを感じた。

人は人のために動いてこそ成長することや、
命が躍動する喜びを教えられた。
人の悩みに応えようとすると、
自分の本心を見つめざる終えなくなる。
人のために悩むことがいかに難しいかを知る。

そして、
成長する人には大事な要点が三つあることも知った。

一、素直
二、挑戦
三、学び

成長する人としない人の分岐点は素直かどうか。
素直な人は謙虚だ。
また、人から学ぼうとする。
愚直にいまを大事にする。

挑戦。つまり、行動する人。
向上心を忘れず、やらずに悔やむことを恐れる人。
惰性を恐れる人だ。

学び。常に学ぶことを怠らず、
既成概念にとらわれない。
停滞は後退を意味することを知っている。

「人材を育ててこそ、人材である」

「一流に触れろ。一流に触れてこそ人は育つ」

「名著を読め。二流三流の本は読むな」

「いかなる組織もリーダーで全てが決まる」

「青年を育てろ。リーダーが本物かどうか。
それは青年を育てているかで分かる」

「人事は極めて重要だ。組み合わせ如何で組織は変わる。似た者同士を集めてはならない」

「人を動かすのは慈愛である。心である。
策や要領で人は動かない」

「偉大な人物は確かな哲学を持った人だ」

これらは、二十代の前半に叩きこまれた。
生涯の財産になっている。

そんな折に人から勧められて手にした一冊。

童門冬二『小説 上杉鷹山』。

上杉謙信公を祖にし、
江戸時代には、軍師・直江兼続が治めた山形の米沢が上杉家の領地として存続していた名家。

その米沢を舞台に、
九州の高鍋藩から養子としてやって来た、
九代目藩主・上杉鷹山の改革物語だ。
”米沢藩中興の祖”と讃えられている名君として、
アメリカ大統領、ジョン・F・ケネディが尊敬した人物としても有名である。

ケネディは、
政治家としての振る舞い、
何よりも人民の幸福を考え、
潔癖な生き方を貫いた改革者、鷹山を尊敬した。
その日常生活を、
文字どおり一汁一菜、木綿の着物で通した
鷹山の姿に、
自分の理想とする政治家の姿を見たらしい。

17歳で当主になった米沢藩の若き藩主・上杉治憲(鷹山)。

その頃の米沢藩は名家の伝統とプライドに縛られ続け、
旧態依然とした習慣、財政難にも関わらず
豪奢な生活スタイルを続け、貧窮していた。

驚くべきことに、
名家のプライドからリストラを嫌い、
財政の九割が人件費。
重臣の間では、
幕府に藩を返上した方がよいのではないかという
話が出るほど追い詰められていた。

治憲は財政再建のための改革をすることを決断。
江戸藩邸から本国・米沢に向かう途中の場面が
印象的だ。

倹約質素を実行し、改革を進めようとする主君を
重臣たちは快く思っていない。
抵抗勢力の壁は分厚い。
出迎える人すらいない。
農民の活力も感じられず、
これからやらんとする改革に暗い影を落としていた。
後悔の念が忍び寄った。

駕籠で移動中、煙草盆の中の冷えた灰を手に取った治憲は、米沢の国や、暮らす人々は、この灰のようになっていると感じた。

治憲は、
何の気なしに冷たい灰の中を煙管でかきまわした。
灰の中に小さな火種がくすぶっていた。
それを見て治憲は決意した。
この火種こそ希望であると。

火種を新しい炭に移し、
家臣たちにお前たち一人一人が火種になり、
灰のような米沢の国に火を灯してほしいと語った
エピソードは興味深い。

また、重臣たちから除け者にされていた藩の問題児
を集めては側近にした話もまた上杉鷹山の真骨頂である。

古い考えに固執し、
重臣の顔色を伺うような人物では、
改革の役には立たないと思った。
いかなる苦難にも意志を貫き通すような人材で
なければ改革は頓挫すると考えたのだ。

鷹山の凄さはここだけに留まらない。

将来の人材育成のために、
財政難を乗り越えたばかりにも関わらず、
藩の大反対を受けながら学校再建に乗り出したことだ。

「私の考えている新しい学校は、藩士だけのものではない。もちろん、藩士の子弟も入れるが、同時に、百姓、町人のこどもも入れたいのだ」

藩校・興譲館(現山形県立米沢興譲館高等学校)の誕生である。

改革を進めていく中で、
信頼していた家臣の腐敗にも苦しんだ。
歴史にも名高い天明の大飢饉にも苦しんだ。
しかし、米沢藩は大飢饉の中で一人も餓死者を
出さなかったと言われる。

緊急自体に備えてあらゆる手立てを講じる。

「安きに居りて危うきを思う」

優れたリーダーは常に用心を怠らない。

人の上に立つ者の姿を上杉鷹山は教えてくれる。

優れたリーダーとは、
問題提起をする力、
問題解決への決断力、
目標を果たした後に見える景色を示す人だと。

歴史小説は人間学を学べる素晴らしい教科書です( ^ω^ )
ぜひ、読んでみてください。