『はだかんぼうたち』江國香織 著。 | 蒼の深さを見上げてみたり。

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認知症の母との日々や日常の些細なこと、読書の記録などを綴ります。


4月2日読了。


あらすじを書け。と

言われると

なかなか難しい小説でした。


歯科医、桃を中心に

恋人(?)の鯖崎

友人のヒビキ

ヒビキの母の恋人、山口

桃の母、由紀

桃の姉、陽。


それぞれの立場で

誰かを求めたり

求められたり

求めなかったり。


最初は軽やかだった

鯖崎が

ヒビキに対して

だんだん重い男になっていくのが

嫌だったし


鯖崎に傾倒して

長年付き合った恋人と

別れてしまった桃を

重いと思ったけど


元恋人と

再び関係を持つようになって


一つ重石がとれたような

桃は好ましいと思った。


だからといって

不実な人が

好きな訳ではなく


ヒビキの母、和枝を

亡くしてしまった後

和枝の面影を追って


縁もゆかりもない土地で

突然

農業を始めることにした

山口の決断は

一途で好感が持てる。


まあ

山口も

元妻から見れば

不実なのだけれど。


そして

その不実な人たちの

物語の中で


1人の夫と

愛し愛される関係にある

桃の母、由紀が

とても異質に感じた。


夫を愛し

夫に尽くし

夫を支える

健気な妻。

という自分に酔っている

由紀には


それ以外に

女性としての幸福があるとは

到底思えない。


そして

娘たちが2人とも

自分と同じように

生きないことを

とても不満に思っている。


それは

とても滑稽なことのように

見えた。


不実とか

誠実とかに

縛られない

軽やかな人を


私は

好きなのかもしれない。