いいお天気がこちらは続いています。
去年よりも温かいということが
庭で もう盛りを過ぎてしまったクロッカスと
今その時を謳歌しているチューリップが知らせてくれています。
日に日に 元の生活の色が濃くなる私の生活。
このたびのことで、
私の頭をすばやく切り替えさせるきっかけをくれたのは
私の2人の子供達でした。
子供との生活は 私個人の感情や体調を理由に
それに待ったをかけてはくれません(苦笑
改めて 子供の存在に感謝している毎日です。
私が日本のことで心を痛めている間
教会音楽家の勉強も立ち止まって私の立ち上がるのを待っててくれたわけではありません。
レッスン、授業、合唱はどんどん進んでいってます。
さて♪
今回は パイプオルガン解体修理の記事の続きです。
3月10日木曜日、Orgelbaumeister のところに 再びオルガンの解体修理を見学に行ってきました。
火曜日は がら空きだったオルガンの中にはずいぶんパイプが入れられていました。
それでも オルガンの周りには まだまだたくさんのパイプが・・・・
これは Mixtur のパイプ。
音は D3, ES3くらいの高さ。
トランペット、 これは形からも何の音色か想像しやすいですね♪
Voxfloete と名前が書いてありました。
オルガンによっても 音色の数が違うし 音色の名前が若干違うようなので
私がいつも練習するオルガンは 別の名前だったと思う。
この穴に パイプの下を立てます。
この穴に Balk から送り込まれる空気が流れて
パイプオルガンは音が鳴ります。
実際に中の構造や パイプの形を見たので
これからオルガンを演奏する時には いろいろと別の観点から音を想像できそう♪
この日は お弟子さんが後ろに回って 調律、パイプの設定でした。
脚立を持ってきての作業~
鉄を切るハサミで パイプを切って チューニング!!
ちょっと驚き 
作業中は この日は特に マイスターとお話しをするわけでもなく、
私は 周りに並べられているパイプを細かく見たり、
お弟子さんのされている調律の工程を眺めたり、
その間に演奏される マイスターの演奏に聴き入ったり~
とても静かで 穏やかで 心地よく その時間は流れていきました。
この作業を見学するまで 私にとってパイプオルガンは
一個の楽器
でしかありませんでしたが
人間が 自分の耳でその音色を聴きわけ
(しかも聴いた人間にしか価値のわからない微妙な差を)
数ミリという単位で手を加え
2000本を越えるパイプに 同じ情熱で手を加え
音階でつながっている音同士のつながりを滑らかつながるように
自分の時間をつぎ込んでいくマイスターとお弟子さんの姿を見て
ワイン作りと同じだ 
と思ってしまった 自分。 
ワインも 同じ葡萄、同じ場所、同じ地質、同じ気候で作っても
作り手が違うと 絶対に同じ味のワインにはなりません。
おいしいワインを作る人は
皆それぞれの哲学を持った心の優しい方ばかり
私の出合った方はそんな方ばかりでした。
それぞれの個性が ワインの味になり
人間の深みが ワインの味に深みをもたらしていると感じています。
パイプオルガンも同じでした。
Rowan West さんというマイスターからしかこの音色は出せない。
ワインが樽の中 瓶の中で生き続けていくように
パイプオルガンも 彼から注がれた愛で命を吹き込まれ
生き続けているのですね。
あっという間に 私に許されている時間は過ぎていきました。
最後にマイスターと少しお話できました。
マイスター 「このオルガンは 僕が独立して初めて自分で造ったオルガンなのですが
このオルガンを造るまでに 僕は10年という時間をかけました。
どんな音で演奏できるオルガンにしたいか・・・
それを形にするためには 僕の中で 確固たる 「絵」を完成させる必要があったんです。
その絵が 不明瞭なままでは 音は形にならないんですよね」
自分、ウィーンの教授の授業でも 同じようなことを言われています。
「私の教授も
歌を唄いながら 自分の目の前の 空気というキャンバスに
「絵」を描きなさい っていわれます。
ここは 花、 ここは木、
ここにはこの色を使う、ここはこの色・・・・・とか
ここは この筆を使って このタッチで・・・・・・とか。
そのイメージが 自分の中で出来上がっていないうちは
まだ キチンと 自分でその音楽を把握しきれていない ってことだし
自分が自由じゃない ってことです、
とおっしゃいます。
「自分」を解き放ち 「自分」の魂で絵をそこに描く、
それが唄うということです」
マイスター 「僕は オルガンを造る人じゃなければ
オルガニスト か 建築家 になりたかったんですよ。
でもオルガンを作るということは 音楽家としても 建築家としても
才能、興味、知識・・・・どちらも必要でした。
この仕事を与えられたことに 僕は本当に感謝しているのです」
マイスターと堅く手を握り お別れとなりました。
でもこのお別れは今生のお別れじゃあなくって
マイスター、 一旦この教会でのお仕事を中断されて
他の教会でお仕事をされてから
イースター過ぎにこの教会に戻っていらっしゃいます♪
「その時 また観に来てもよろしいでしょうか?」
マイスター「 どうぞ、いらしてください。 再会を楽しみにしてますよ♪」
時間が過ぎるにつれて 日々の生活に追われ
元の生活のリズムに戻ろうとしているのを感じる傍らで
その当たり前な時間、当たり前に生活する自由を
引き千切られるように失った人たちがいることを
しっかりと心に刻んで
今ある生活をより感謝して生きていこうと思う
私であります。







