動物によるレジリエンス (3):スペシャルタレントと動物 | ERRCのブログ

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私たちERRCは、不登校やひきこもり、発達障がいなどで悩む「スペシャルタレント」サポーターであり、当事者でもあります。
アニマルセラピーやカウンセリング、学習支援などを通し、生きづらさを感じる人々をサポートしています。

はじめまして。ERRCのMiaと申します。

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引き続き、動物によるレジリエンスのお話です。

今回は、スペシャルタレントと動物との関係性についてです。まずは、自閉症の女性と馬との温かい絆のお話をご紹介します。

アニマルセラピーの話

補助犬の話

 

 

自閉症の女性を救った馬

 馬と人との関係は、また不思議なものです。私 Mia も、これまで障がい者のための乗馬会に何度か参加した経験があります。参加者の多くは、身体が思うように動かせなかったり、うまく喋ることができない子どもたちです。馬は子どもたちにどうやって接するべきか知っているかのように、とても優しくて穏やかで、その眼差しはまるで子どもたちを見守る母親のようでした。私の方が馬から学ぶことがたくさんありました。

 

 こうした乗馬療法は、科学的にもその効果が認められています。特に、身体的なリハビリを目的としたセラピーの歴史は古く、古代ローマ時代からあったと言われています。そして、姿勢やバランスの改善などの身体的な効果だけでなく、自尊心や意欲の向上も期待されます。馬に乗ることで視点が上がり、大きな動物とともに歩いたり走ったりすることが一体感を生み、大きな自信につながるわけです。

 

 そういったことから、この乗馬療法、実は自閉症にも良い効果をもたらすようです (写真・記事↓)。オーストラリアに住む自閉症の女性が、馬とのふれあいによって、心の落ち着きを得たこと、そして発語やコミュニケーション能力に向上が見られたというのです。コミュニケーションに問題を抱える彼女にとって、言葉のいらない馬とのふれあいは、自らの殻を破り、ありのままの自分自身をさらけ出す勇気を与えてくれたようです。

 

 馬は非常に繊細な動物で、人の感情や状態を敏感に感じ取ることができます。犬や猫とはまた違い、大きな動物だからこその身体的効果が期待できます。さまざまな障がいや病にも有効でしょう。残念ながら、まだまだ日本では、乗馬自体が気軽にできるものではありません。もっと馬と気軽にふれあうことができる場所が増えれば、多くの人たちが救われるかもしれませんね。

→ Elderly therapy horse helps teen girl with autism.

 

 

スペシャルタレントと動物

 自閉症に対するアニマルセラピー (動物介在活動、動物介在療法) は、前述の乗馬療法をはじめ、さまざまな動物で実践されています。実は、自閉症 (スペクトラム) も含め、コミュニケーションやこだわりなど社会的スキルに弱さがみられる、スペシャルタレントの人にとっても、動物とのふれあいは大きなプラスになることが多いのです。なぜなのでしょうか?

 

 これまでもお話してきたように、スペシャルタレントの人は、コミュニケーションによる問題があることがほとんどです。人間関係にトラブルが生じやすく、人とのつながりを感じることは難しいこともあるでしょう。これは人間同士のコミュニケーションが主に言語によって成り立っていることが原因でもあります。しかし、動物とのふれあいには言葉はいりません。非言語でつながりを感じることができるのです。そういったことから、動物とのふれあいを通して、大きな喜びと自信を得ることができます。

 

 さらに、動物たちは決して裏切ることがない、絶対的な味方になってくれることも大きいでしょう。ユニークな個性のために孤立しやすいスペシャルタレントの人にとって、そっと寄り添ってくれる動物は、その孤独感を和らげ、かけがいのない存在となってくれることは間違いありません。また、そのプラスの感情が自己肯定感を高めることにもつながることは、非常に大きなメリットです。

 

 また、動物とのふれあいは、スペシャルタレントの人に癒し効果を与えてくれるだけでなく、教育としても重要な役割を担うことができます。動物介在教育として、命の大切さを通して責任感を学び、思いやりや優しさを育むことができるのです。ディスレキシア (学習障がい) の子どもたちに対する、犬による学習プログラム (R.E.A.D プログラムなど) も非常に期待できるものです。新しいインクルーシブ教育として活用できるのではないかと、ERRCでも推奨しています (くわしくはまた次回)。

 

 さらに、こうしたスペシャルタレントの人の中には、動物との相性が抜群の人がいます。感覚が鋭いため、動物たちの微妙な表情や行動から動物の心を読むことができるのかもしれません。つまり動物と同じ目線になることができるわけです。以前ご紹介した、Temple Grandin (テンプル・グランディン)は、まさにこの才能を活かし、動物にも人にも優しい畜産施設のデザインに関わってきました。一部のスペシャルタレントの人にしか読み解けないアニマルマインドを、一般の人にもくわしく代弁してくれる数少ない一人でしょう。

 

 こうした動物的感覚は、まさに才能 (スペシャルタレント) と言えます。動物が好きで相性が良いと感じる人は、さまざまなアニマルセラピーに参加したり、ボランティアとなったり、その才能を活かすべきでしょう。動物に関わることはもちろん、重大な責任が伴いますが、特にスペシャルタレントの人にとっては非常に大きなステップアップになるのではないかと思います。スペシャルタレントの人と動物との間には、不思議な絆が存在しているような気がします。

Temple Grandin (Prairie Business magazineより)

 

→→ 次回はネコの不思議な魅力のお話です。

動物によるレジリエンス (4)

 

 

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