私の仕事は毎日外回り。

いつも仕事の途中で早めの昼食をとる。

今日は丸亀製麺に入った。
安いし旨いし早いから。
それと、スマフォに丸亀のアプリを入れてあるので、よく丸亀を利用している。

アプリのクーポンを確認すると、「釜揚げうどん150円引き」のクーポンが配信されていた。



心の中で「(よし、今日は"釜揚げうどん"だな)」と小さくつぶやく。


私の前に背の高い男性が並んでいた。
「ご注文どーぞー」とうどん担当の店員に促され、その男性がボソッと注文した。
「かけうどん…$¥&#%…、釜揚げうどん」
しばらくして"釜揚げうどん"と"かけうどん"の両方が出て来た。

私は心の中で「(お、食うねえ❗大盛とかじゃダメなのか…)」とつぶやく。

すると男性は「"釜揚げうどん"って言い直したんだけど」と言って"釜揚げうどん"だけをお盆に載せてレジに行ってしまった。

コロナ対策のため厨房を仕切る透明なビニールとマスクを装着しての注文で、店員にうまく伝わらないという光景はコンビニなどでもよく目にする。

うどん担当の娘は気丈に「失礼しました」と言うと目線を下に向け一瞬だけ哀しい表情になり、取り残された"かけうどん"を手元に置いた。
おそらくこの"かけうどん"は少しでも冷めたら廃棄となる。

その光景を見ていた私は「ふーぅ」と小さく息を吐くと、うどん担当の娘に言った。
「じゃ、その"かけうどん"、私が貰おうかな」

娘は顔を赤らめ「え、いいんですか? ありがとうございます!」と嬉しそうに言った。

そして私は心の中でつぶやいた。
「(ホントは釜揚げうどんが食べたかったけど…💦)」

"かけうどん"も"うどん担当"も救われたし、クーポンは次に使えばいい。


私はとてもやさしい気持ちで"うどん"をすすった。

関西風のお出汁でいただくその"かけうどん"はとてもやさしい味だった。


おわり