脳梗塞リハビリセンター(リハセン)は、脳梗塞や脳出血の回復期が終わって遺ってしまった後遺症を少しでも改善したいという私のような患者を対象に、自費で専門のPTが個別リハをしてくれる施設。首都圏を中心にフランチャイズで各地にポツポツとあるらしい。
保険点数を基準にした全額自費だから、1割負担だった私の今まで負担していた額の10倍。
結構なお値段だけど、根拠があるのでリーズナブルなのだろうと感じた。
結局、わが街への誘致は不調に終わり、大阪へ通う根性もなく、首都圏に滞在する費用を考えると「無理」と言わざるを得なかったが…
それでも会長さんから、今、手に入るbestのリハを受けて来てbestの効果が得られているのでは?
このまま続けても大丈夫と励ましを頂いた。
やる気満々の60歳。
「その調子。だけど脳出血したからってガン家系は許してくれへんで。」
という夫の勧めで8月に人間ドックを受け、進行胃がんが見つかった。
諦めない夫に引き摺られ、初診の翌日から速攻で治療に向けて動き出したおかげで、ここでも抗がん剤が劇的に効いて、切除は根治が望めるレベルで成功した。
だが、無邪気に「よし、この調子で治そう!」と張り切る夫とは裏腹に私の気持ちは切れてしまった。
人間ドックの胃カメラで、あのデッカイ腫瘤を見た瞬間「終わった…」と思ってしまったのだ。
現に4年近く経ってから再発転移。目下あまり楽観できない状況に追い詰められている。
こうなった時「きっと大丈夫」とか「もう一回あれをしよう」とか言われても、ちっとも楽しくない。そして、ヨコ型のケアラーは、励ますつもり、希望を灯すつもりで大真面目でその計画を立てる。
もともと、58歳で健康寿命は尽きている。
どう頑張ってもモグラ叩きのように、寿命を脅かすトラブルが出てくるというのは、「以前のようにな」時間感覚で生きるのはもう無理、ということだ。
夫は、ちゃんと治してアレしよう、コレしよう、と言うけれど、私は体の動くうちにしておきたいことがある。
進行性の病気と共存するためには、遅かかれ早かれendpointがやってくることを受け入れ、それまでに何をしたいかを厳選してこなすのが楽しくストレスなく過ごすことになる気がするのだ。
まず、エンディングノートに従って終活をしたい人も多いだろう。
ヨコ型のケアラーにとってそれを受け入れる、ということは1人遺されるということを受け入れること。辛いに決まっている。むしろ、先立つ者より葛藤は大きいかもしれない。
ヨコ型ケアには、ケアラーのサポートも重要なポイントになる。
夫を見ていて、つくづくそう思う。