「送らぬ書簡」・其の一、
淡然先生。
師は私の人生の大半を決定づけた恩師なのです。先生とは師弟関係・同窓・同クラブOB同士・同業者と幾重にも縁が重なりました。私が某大学の説明会をお聞きになったO先生の許に出向いて「漢文がやりたいんです。」と話すと、「W大学は現代中国に重きを置いているので、本当にやりたいのなら、しっかり古典からやらなくては駄目。」重ねてO先生は、「君の習っている先生の許に大学の推薦枠があったはず、行ってご覧。」と、教えて貰いました。
淡然先生とは3ケ年、漢文の授業でお世話になりました。私にとっての先生の授業は、熱血漢教師の惹きつける魅力ではなく、譬えるなら≪深海の底にでも引き寄せられる≫魅力でした。
板書の文字も見事だった。≪人を惹き付ける≫それでした。いつぞやの賀状に「先生の文字に似て来たようで…云々」等と書きましたが、私の思い上がりで恐縮してます。やはり、師を超えるなんて、到底出来ないことで、≪神のような存在≫です。
師は漢文を教えていたので、≪儒学者≫ですネ。それでいて、クリスチャン。≪道を説く≫上では同じなんでしょうネ。先生が母校をお辞めになったとは、ショックでした。が、今では≪有名大学予備校講師全国100人≫にお名前を連ね、また私の遠い所へ行ってしまいました。
ご結婚14年振りにお生まれになったお嬢様はさぞかし大きくなられたことでしょうネ。奥様がお亡くなりになって、先生は、気を落としていらっしゃることでしょう。奥様も私にとっては大学の大先輩です。懐の大きく深い方といった印象があります。