今や新時代を象徴する情報ツールといっても過言ではない高機能携帯電話(スマートフォン)。特に「新しいもの好き」といわれる関西人の中には、スマートフォンの“買いどき”を探っている人も多いはず。NTTドコモとKDDI(au)は昨年秋、“本命”機種を相次ぎ投入。それぞれの関西支社長が春商戦の関西市場攻略に向けた秘策を語った。(牛島要平)

■“三種の神器”で攻める

 「三種の神器搭載のスマートフォンで攻める」。NTTドコモの徳広清志・関西支社長は話す。“三種の神器”とは「おさいふケータイ」「ワンセグ」「赤外線通信」のことで、従来の携帯電話に搭載され、日本ではおなじみの機能だ。

 ドコモは3機能を搭載したシャープ製の「LYNX(リンクス)3D」などを昨年12月に発売。徳広支社長は、ドコモ独自のコンテンツサービス「iモード」に対応したスマートフォンも「早ければ平成23年度に投入する」と明かした。

 国内のスマートフォン市場では、これまでソフトバンクモバイルが20年7月に発売した米アップル製「iPhone(アイフォーン)」が、多彩なアプリケーションを入手できる点などで評価されてきた。徳広支社長も「iPhoneの商品力は高い」と認める。

 苦戦していたドコモとauに巻き返しの好機をもたらしたのが、米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」。無償で端末メーカーに公開されるため開発コストを抑えられるほか、「おさいふケータイ」などの機能搭載が可能になった。

■半数がスマホユーザーに

 本格的なスマートフォン戦争の口火を切ったのは、出遅れていたauが昨年11月に発売したアンドロイド搭載の「IS03」(シャープ製)。発売当日までの予約者数は関西だけで約5万5千件に達した。KDDIの甘田純一・コンシューマ関西支社長は「アンドロイドはスマートフォンのメーンのOSになる」と予想する。

 調査会社のMM総研によると、国内の携帯電話の全契約者数に占めるスマートフォン契約者数の比率は、22年度の8・3%から23年度には19・9%に高まり、27年度には51%に達すると予測される。

 KDDIの甘田支社長が「春までに品ぞろえを広げる。携帯端末の販売構成比の30%は、スマートフォンなど新商材で展開。場合によっては50%になる可能性も高い」と話すように、利用者にとっても選択肢が一気に広がりそうだ。

 ドコモが重点的に販売攻勢をかけるのは、10月に発売した韓国サムスン製「ギャラクシーS」。“三種の神器”は未搭載だが、有機EL(エレクトロルミネッセンス)を使用した画面の鮮やかさや、約118グラムという軽さが魅力だ。

 日本メーカーにとってライバルの韓国製を採用したことについて、徳広支社長は「いいものを安く売らなければ勝てない」と明快だ。一方で、日本メーカーに対しては「海外に打って出る競争力をつけてほしい」と“進化”を期待する。

■“真打ち”はLTE?

 ドコモが昨年12月24日から東京、大阪、名古屋で開始した新たな通信規格「LTE」による次世代高速通信サービスも大きな武器。徳広支社長は「LTEに対応したスマートフォンこそ“真打ち”で“4番バッター”」と意気込み、今年末をめどに発売する見通しを示した。

 一方、米国の人気歌手レディー・ガガを起用した鮮烈なコマーシャルで業界に殴り込みをかけたauの「IS03」。「ツイッター」など16のSNS(ソーシャルネットワークサービス)にまとめて投稿できる「ジャイブ」や、ネットを通じて通話・チャットが可能な「スカイプ」など、他社にない機能を搭載している。

 KDDIの甘田支社長は「幅広い機能を実感してもらえるよう、auショップのスマートフォンコーナーを拡充している」と販売面でのてこ入れを図る。「関西のお客さまは特にコストに厳しい」として、ケーブルテレビ最大手、ジュピターテレコム(JCOM)と連携し、携帯と固定電話の無料通話サービス「auまとめトーク」を拡大するなど、料金の優位性も積極的に打ち出す方針だ。
◆中学校自由
 ◇やまなし--四万十市立中村中2年・佐野芽依さん
 私の『やまなし』との出会いは音楽からでした。昨年度の高知県吹奏楽コンクールの自由曲「クラムボンはわらったよ」を練習しはじめてからでした。私が曲から感じたことは、軽快なリズムから始まり、ドキドキするような中盤を過ぎるとおだやかで憂いを秘めた、どこか死を連想させるようなメロディーで終わるのです。なにより、クラムボンとは何だろう。気になって友達に聞いてみたら「カニ」との答えが返ってきました。人物ではなく、クラムボンはカニなのか、どうしてわらうのだろう、と理解できませんでした。顧問の先生が曲の最後のほうで「物事はいい方向に向かっている。そんな気持ちで。」と指示がありましたが、私にはいい方向には向かっていないような気がして、どうしても調べたくなったのです。本屋へ行き「クラムボンはわらったよ」の本を探しても見つかりませんでした。『やまなし』という本だったのです。私は更に謎めいたクラムボンに興味がわいてきました。
 季節は五月、青白い水の底で幼い二匹のカニの兄弟がクラムボンについて語り合うというものです。クラムボンは笑ったのです。かぷかぷ笑ったし、はねて笑ったのです。兄弟はつぶつぶあわを見つめながら、また自分たちもあわをはきながら、クラムボンはなぜ笑ったのかを質問し続けるのです。そんな中一匹の魚が二匹の頭の上を過ぎたときから、ストーリーの色が変わりました。「クラムボンは死んだよ、殺されたよ、死んでしまったよ。」とくり返します。とても不気味です。カニの頭の上を魚が行ったり来たりすることも、これから悪いことがおきそうな気がします。「殺されたよ」という表現の中にも怖さを感じます。結局、お魚は天井から鉄砲だまのような鋭いものが飛んできて、白い腹をギラギラと光らせて昇っていってしまったのです。鳥に食べられてしまったのだと思います。ここでは自然界の弱肉強食を幼い兄弟に示したところだと思いました。そこに父ガニの登場で兄弟は救われています。なぜ母ガニではないのかと疑問に思いました。後に調べて分かったのですが、どうやら母ガニは弱肉強食により死んでしまい、いないらしいのです。クラムボン=母ガニの死と解釈している人もいるそうです。季節は十二月になり同じ水底でも次は、冷たい水面を火を燃やしたり消したりしているような月光に照らされ、あたりがしんとしていると表現されて、より一層不気味さを感じます。兄弟は、大あぶくの競い合いをしながら遊んでいますが「はやく寝なさい。」という父ガニの登場のみで母ガニは現れませんでした。文章の重たさと兄弟の無邪気さが余計に淋しさを感じさせられます。この本の結末は、やまなしが川上から流れてきて、おいしいお酒ができると喜ぶ親子の平和な日常であっけなくおしまいです。
 読んでみましたが謎は深まるばかりでした。そこで、作者の宮沢賢治について調べてみました。一八九六年岩手県生まれ、詩集や童話集を多数出版していることは有名なことですが、教師、農業指導家、地質学者でもあります。妹の病死、自身も病気と闘い三十七歳で亡くなるまで生涯独身であったようです。これだけを思うと孤独な生き方をしてきたのだろうと悲しくなりますが、もっと調べてみると、彼には友人もおり、教え子を大切にし(生徒をつれ、そば屋で好物の天ぷらそばと三ツ矢サイダーを振舞った)とのエピソードもあります。堅物で根暗でかわり者のイメージを持っていた私でしたが、調べていくうちに、優しくてかわいらしい面も感じられ、好感を持ちました。彼の作品の中で、『いちょうの実』という童話も読みました。母親と旅立つ多くの兄弟姉妹の愛情あふれるものでした。この作品はとても分かりやすく心温まるものでした。分かりにくいもの、分かりやすいもの、それぞれ理解あって書かれたものなのかと思いはじめました。分からないものは分からなくていいのかも知れません。クラムボンは不明だからいいのかも知れません。クラムボンについて調べても未だに明確な答えは出ていないそうです。私はクラムボンを調べ続けて思ったことは、私と同じようにクラムボンに疑問を持っている人が多いこと、そして研究までされており、多くの人々が今もなお謎解きをしていることが嬉しかったのです。いろんな解釈がありました。カニのあぶく説や、水中から見た水面の様子説、アメンボ説、深い考えでは賢治の妹とその死を表現したとの説、兄弟ガニの母親説などさまざまです。読んだ人が感じたままの疑問を持って、そして私のように調べていく中で楽しさを感じることもクラムボンなのかも知れません。正体不明がクラムボンの正体なのかも知れません。
 宮沢賢治「やまなし/いちょうの実」(岩崎書店)=つづく