今日は最近知人の方からもたらされた、AA社製バンドネオンに関する歴史といいますか、豆知識といいますか・・

そんなことを、お伝えしてみたいと思います。私も初めて知ったことです。

 

因みに・・

教えて頂いた方は、私がバンドネオンという楽器を知り、始めたいと思い、当てもなく楽器を探し続けていた頃最初にお世話になった方です。私が勝手に思っていることですが、楽器調達の師匠としてお慕いさせていただいている方です。

 

小松亮太さんがタンゴについての本を出されていましたが、やっぱりそれは素晴らしい本でした。

もし叶うなら、自分は世界中のバンドネオン愛好家や奏者が愛してやまないAlfred Arnoldのバンドネオンについて、その歴史、未だ未知の部分を何か形に残せたらな・・なんて妄想してます(^▽^;)

 

バンドネオンという楽器において流通している古い楽器は、AA社製、ELA社製、A社製、M&H社製と基本的にこの4社であることはご承知の方は多数だと思います。これらはいずれも製造メーカーです。

 

そして一部のメーカーは複数のブランド名をもって楽器を流通させていることも知られています。

一例をあげると、AA社製バンドネオンは「AA」「Premier」「Canpo」「America」といったブランド名の元で製造されています。またM&H社は設立当初、AA社に製造を委託していたことも知られています。

 

さて、今回お伝えしたいのは、このブランド名に関連することになります。

AA社製バンドネオンの中核である「AA」というブランド名についてですが、このようなブランド名はAA社設立当初には存在しないそうです。

 

 1929年、アルゼンチン向けにバンドネオンの輸出が始まったこの当時、それまで存在した「A」という商標で登録されていたバンドネオンがありました。これを「AA」と改名したことで初めて生まれたブランド名なのだそうです。

 

Arno Arnold社はA社と言われており、A社のバンドネオンはどうなのでしょう・・

ブランド名「A」と言うと、てっきりArno Arnoldのバンドネオンを指しているものとばかり思っていましたが・・

そもそもArno Arnold社製のバンドネオンって商標としてはどのようなネーミングがついていたのでしょう・・

 

A社はさておき、1911~1929年に製造されたブランド名「AA」と思われていた楽器は、「A」という商標になります。私自身も初めて知ったことであり、なんとなく色々なことが繋がってきた気がしています。

 

左下:1931年製  右下:1931年製  上:1939年製   いずれもグリルは2ndType

 

個人的な見解ですが、この後1930年に入りブランド名「AA」の楽器のみ右側面のグリルが2ndTypeといわれる、AAという文字が彫られたデザインに変更されています。ブランド名がこの時期に変わったことを考えると、2ndTypeに移行した理由もうなずけます。1930年代が最盛期とかこの年代の楽器がよい楽器?などと言われたりするのも何かこの時期に名前だけでなく何か変わったことがあるのかもしれませんね。

 

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【追記】

3/4 Mother Of Pearlsと呼ばれるモデル。

これが2ndTypeでしか見られないこともなんでか・・

と思ってましたが、1929年ブランド名「AA」へと移り変わったことで1930年にグリルが2ndTypeに変わったのと同様、ある種の記念碑的なモデルなのかもしれませんね。無論推測の域を出ない話ではありますが。

2024/2/10

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また、疑問に思っていたことがあります。

右側面に刻印された輸出番号とされているNoについてです。

輸出番号って、製造初期の楽器、1930年製造の楽器で大差がないんですよね。

製造年の差として大きいもので20年近くことなり製造番号は既に桁が違うのに、輸出番号は違いがほとんどない・・

アルゼンチンへ向け正規の輸出が1929年に始まるにあたり、ここから刻印され始めたものと考えると、この時期にメーカーに残っていた輸出対象となった楽器に順に振られたのだろうかと思いを走らせました。

 

なんてね(^▽^;)

個人的な見解も多くありますが、それでも多く楽器を見る機会を得られたことで、それを元に想像をめぐらせました。

1世紀も前のことを正確に知ることは極めて難しいとは思いますが、興味いあることを深堀りしてみることはなかなか面白いですね。AAの戦前製ディアトニック71ボタン ライニッシュ配列のバンドネオンそのものに興味を持っている方の参考になったらうれしく思います。

 

そして、自分の知らないこと、なんでも教えてほしいです。

そしてそれらをなんとなく考察し発信していくとで、バンドネオンという楽器をはじめたい方にとって楽器を選ぶときに、様々なことに思いを馳せて選べると思いますし、それが楽器を選ぶときの醍醐味の一つなんじゃないかなと思います。

 

今回はこんなところです。

なお、今回の内容は以下サイトが情報源となります。

History (bandonionfabrik.de)

 

また、何かあればピックアップしてみます。